ら行     99年夏以降 劇場で観た新作映画の感想です(基本的にビデオ・DVD鑑賞した作品は含みません)
ラースと、その彼女
RIZE
LIFE! 
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 
ライラの冒険 黄金の羅針盤
ラスト、コーション
ラスト・サムライ 
ラスベガスをぶっつぶせ
LOVERS
ラブリーボーン
ラヴェンダーの咲く庭で
ランジェ伯爵夫人
ランド・オブ・プレンティ
乱歩地獄





リーピング 
リトルダンサー
 
リトル・チルドレン
リトルプリンス星の王子さまと私 
リトル・ミス・サンシャイン
リリーのすべて 
列車に乗った男 
ルーム 
理由 
龍三と七人の子分たち 
Rayレイ
冷静と情熱のあいだ
RAILWAYS
レヴェナント:蘇えりし者 
レスラー
レッド・クリフ Part1
レッド・クリフPartU
レッド・ドラゴン
レ・ミゼラブル 
レモニースニケットの世にも不幸せな物語
恋愛睡眠のすすめ
レンブラントの夜警
ロードオブ・ザ・リング
ロード・オブ・ザ・リング2 
ロード・トゥ・パーデション 
ローマ法王の休日 
ローレライ
60歳のラブレター
六ヶ所村ラプソディ
ロック・オブ・エイジズ 
ロルナの祈り








2016/7/8 【 ルーム 】

ルーム」を観た。
長年拉致監禁された母親ジョイを演じたブリー・ラーソンがアカデミー賞主演女優のオスカー受賞。それ以上に印象的だったのが子供ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイ。天才子役として今後も目が離せない。
ヒントになった実話「フリッツル事件」以降も世界中で似た拉致監禁事件が後を絶たないこともありリアリティさを増している。
隔絶された環境下でも体操をしてTVを観てケーキを焼いて物語を読み聞かせるなど可能な限り息子へ日常を過ごさせようとする母の愛の豊かさに胸がつまる。
ジャックが逃げた後、果たしてジョイが無事でいられるのか冷や冷やしたこともあり、焦った犯人が捕まるまでのタイムラグが気になるところだけれど事件は収束へ。
この監禁時代と解放後の二つの世界で対峙することになる違う形の苦悩を描く。当然ながら事件発覚で「良かった良かった」ではないのだ。
やっと帰れた家で待っていたのは既に破綻した家族。寄り添う祖母の一方、孫の顔をまともにみられない祖父の対比はまるで復帰後の世界観そのものの象徴のよう。
好奇の目の中「こーすることもできたはず。あーすることもできたはず。」と容赦ないコメントでさらそうとする人々に次第に追い詰められていく様はまぁ想定内とはいえかなりキツイ。
本当に人生を歩みだすことがどれだけ難しいことかしみじみ思い知る。





2016/5/22 【 リリーのすべて 】

リリーのすべて」を観た。
原題は「The Danish girl」。
結婚から6年後にトランスジェンダーで変わっていく夫とそれを支える妻を描く。
主演のエディ・レッドメインは前年の「博士と彼女のセオリー」でホーキンス博士を演じてオスカーを受賞しているけれど、もしディカプリオの「レヴェナント」がなければ2年連続の受賞もあり得たのではないかと思うほど繊細な見事な演技だった。鏡の前で全裸になって体のラインを見るシーンなどは、えっここまでやるの?の領域。
妻ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルは見事オスカー受賞ということで両者演技面では申し分ない。

でも・・・現在でも偏見はあるのだから1920年代においての苦悩は計り知れないし世界初の性別適合手術受けるリスクも現在とは比べようもないのは理解した上で、どうもこの主人公に感情移入できなかった。
主人公はリリーとして女性になる願望に目覚めてから女性のしぐさを研究したりおしゃれを楽しんだりデートしたりと自分の本能のまま行動していく。社会的な苦悩はあったとしても妻の葛藤を思いやる気持ちがどうも欠けているとしか思えなかった。
一方妻は自分が作ったきっかけで女性になることへ目覚めさせた負い目と愛する夫が消えていく幾重にも交差する思いを経てそれでも愛するゆえにサポートしていくと決める。献身的な支えは自己犠牲といえるものだけに、‘わが道を行く’主人公があまりに自分愛が強いのが対照的でなんかしっくりこなかった。
劇場はすすり泣きも聞こえたけれど私は泣けなかった。リリーとゲルダのどちらサイドで鑑賞するかによって意見が分かれそう。





2016/4/30 【 レヴェナント:蘇えりし者 】
レヴェナント:蘇えりし者」を観た。
ディカプリオの悲願のアカデミー主演男優賞受賞作。
ここまでやるかというくらいの壮絶な役。熊に襲われ、瀕死で仲間から置き去りにされ、冬の川に流され、生の魚やレバーっぽい生肉にかぶりつき、馬ごと崖から落ち、馬の死体を寝袋にして寒さから身を守る。確かにお見事です。
ただでさえ厳しい極寒の撮影環境の中、よく頑張りました。歴代のアカデミーの中でもダントツの努力賞に値するかも。なんていうかひたすら参りました。
敢えて難を言わせてもらうなら、いくらなんでも生命力あり過ぎでしょ。実話をモチーフにしているのも驚きとはいえ、盛り過ぎ(^_^;) 映像は自然光のみを使い人工的な照明を排除したらしいけれど、この主人公のバイタリティというか蘇えりが人間離れしていて不自然でしょ。
奇跡のサバイバルをこれでもかこれでもかと描いた後は、復讐劇へと転じ、実際の撮影で鼻を折ったという程の体当たり肉弾戦の迫力もハンパない。
すごい映画だということはストレートに伝わってくるけれど許容限度を超したシーンが多くて156分スクリーンを見ているのが辛かった。
監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続き2年連続の監督賞で、カメラマンのエマニュエル・ルベツキにいたっては「ゼロ・グラビティ」「バードマンあるいは(無知が もたらす予期せぬ奇跡)」に続き3年連続の撮影賞ということで快挙。
実は個人的には「バードマン あるいは(無知が もたらす予期せぬ奇跡)」の良さが全くわからずアカデミーの作品賞自体を納得していないけれど、本作は良い意味で成果を出したので各3部門で受賞した3人の異才に拍手。




2015/11/22 【 リトルプリンス星の王子さまと私 】
「リトルプリンス星の王子さまと私」を観た。
なんて長ったらしい邦題なんでしょう。原題は「THE LITTLE PRINCE」。
サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」をベースに、少女を主人公にして「星の王子さま」の後日談を描いたものなので「星の王子さまと私」だけで十分なような。
少女とおじいさんを中心にした現実は3DCGアニメで、、「星の王子さま」の物語はストップモーションアニメでその分けた世界観が素晴らしい。
絵本の世界のあったかさ純朴さがダイレクトに伝わってきた。
今どきの教育ママと娘の規則的な暮らしぶりと隣家のおじいさんの自由な暮らしぶりが対極。
星の王子さまが‘子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆’なのでこのおじいさんそのものが‘失っていない大人’の象徴になっているし、冒険に出た少女が見た‘その後の王子さま’は、もはや子供でなくなった大人の象徴になっている。
この後半の展開が意外だったので意見がわかれそうだけれど、そこの部分こそがいつの間にか子供の心を失った大人たちにこそ向けられた物語となっている。




2015/5/8 【 龍三と七人の子分たち 】
龍三と七人の子分たち」を観た。
北野武監督ということで連日による出演者による宣伝も派手。
元ヤクザの老人達が結束した‘一龍会’vsオレオレ詐欺などの犯罪グループ‘京浜連合’ 。
何はともあれ主演の藤達也をはじめとする平均年齢72歳のベテラン俳優陣が嬉々としている。この映画ならではの一同に会した顔ぶれがここまでやっちゃう的なコント要素のサービスショットも北野武ならではということなのかも。
年老いて一人でいる姿は孤独がつきまとうだけに集まってはしゃいでいる姿を見ているのは楽しそうで何よりなんだけれど、子供じみていてそれほど笑えないのがななんだかなぁ。
親分の女装シーンも、なんとあの藤竜也がハイヒールにシャワーキャップ姿になっちゃいます的にそれ自体が目的だったんじゃないかとさえ思える。
龍三親分・若頭のマサ・はばかりのモキチ・早撃ちのマック・ステッキのイチゾウ・五寸釘のヒデ・神風のヤスというキャラ設定もなんかストーリーに活かしきれていなくなんだか惜しい。




2014/4/9 【 LIFE! 】
LIFE!」を観た。
原題は「THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY」。海外に住む家族から 「MITTYすっごく評判良いょ」とは聞いていたけれど「LIFE!」になるとは・・・。雑誌「LIFE」が鍵となっている点も含めて珍しく極めて上出来の邦題といえるかも。
写真編集をする地味で奥手な主人公ミッティ(ベン・ステラー)が、最終号の表紙のネガを探して、カメラマンのショーン(ション・ペン)を探す旅に出る。
空想家という意味では先日観た「白ゆき姫殺人事件」の主人公と重なる。それ故、人に誤解されがちな面も不器用で臆病な面も重なる。
行く先がグリーンランド・アイスランド・アフガニスタンというのがミソで壮大な自然とともに旅というより冒険でドラマティックったらない。アイスランドのスケボーシーンはその爽快感がダイレクトに伝わってきた。
ミッティの顔つきがどんどんワイルドに変わっていく様子がみもの。この映画が良いのは、一人の平凡な男の成長物語に終わっていないこと。
変わることが良いというよりも、誰にも評価されていなかったはずの平凡な中にもちゃんとその人がきらめく瞬間があるということがポイントで、それを伝えたのが主人公と対極の生き方をする憧れのカメラマン視点からというのが良かった。
生きている間に、生まれ変わろう!!





2013/2/17 【 ローマ法王の休日 】
ローマ法王の休日」を観た。
次期法王に決まった枢機卿が就任直前にまさかの現実逃避で、いったいどーなっちゃうの?という目線からコメディタッチだとばかり思っていたら、クスリとする場面は皆無。(-_-;)
ちょっと予告編に騙された気分。コンクラーヴェやシスティーナ礼拝堂などの様子は興味あるとしても映画自体は残念な出来。
ボイコットしたくなるほどのプレッシャーというのを差し引いても突発的な主人公にドン引き。そもそも枢機卿達が主人公に対してどう思っているのにも焦点が当たっていなく消化不良。モレッティ監督自身が、カウンセラー役で登場するものの存在価値は疑問。
ただでさえ退屈な内容なのに、逃亡先で絡んでくる舞台劇がチェーホフとのことで更に退屈度マックス。
ラストの主人公の行動に至っては不自然で法王以前に人間としてどうなのか疑問に思う。




2013/2/2 【 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 】
ライフ・オブ・パイ/ トラと漂流した227日」を観た。
何と言っても圧巻の映像美に参った。オレンジ色の朝焼け・満天の星空・神秘的なクラゲ・トビウオの群れ・巨大なクジラのジャンプ・波・落雷・不思議な浮島etcDによるところもあるけれどどれもこれもCG映像であるはずなのにリアリティを感じさせつつ、でもリアルでは出すことの出来ないこの世のものとは思えない幻想的な美しさ。これだけでも観る価値あるほどの完成度。
前半主人公の少年の生い立ちでは、「パイ(π)」という名前の由来・円周率のエピソード・一緒に漂流するトラのリチャードパーカーとの叶わなかった親交・キリスト教イスラム教ヒンズーの神々の信仰・カナダへ移民するいきさつ・船で出会った人々・ボートに乗り合わせた動物達etcが語られていき、それがこの後々の伏線となっている。
漂流中に何度も「もう降参です」と言いながらも神を求め続けた少年が、漂流の果て流れついた先で、調査員に求められ、語り出した別のストーリーとは・・・。
どちらの物語を選択するのかは「それはあなた次第」。




2012/12/30 【 レ・ミゼラブル 】
ヴィクトル・ユゴー原作でミュージカルの最高傑作の「レ・ミゼラブル」を観た。
冒頭の荒れた海で巨大な船を引く囚人のシーンで一気に引き込まれる。続くジャン・バルジャンがフランス国旗をかかげるシーンも強烈。
ジャン・バルジャンを演じたのはミュージカル・スターとしても活躍するヒュー・ジャックマンで囚人から市長までそして老いまでを見事に演じていた。
宿敵のジャンを生涯かけて追い続けるジャベール警部のラッセル・クロウや実際に髪を切ったアン・ハサウェイやその他の豪華な出演者も歌を聞かせてくれてさすがハリウッド俳優は演じて歌えてその幅の広さはたいしたもの。
そんな中、コゼットに好きな人を奪われてしまうエボニーヌ役のサマンサ・バークスは役的には地味ながら歌の上手さはダントツで他の出演者の歌が色あせたくらい圧巻。
社会の最下層で貧困にあえぐ人々の絶望と愛と慈悲を壮大に描き年末の1本としてふさわしい作品だった。




2012/10/1 【 ロック・オブ・エイジズ 】
ロック・オブ・エイジズ」をアメリカに向かう機内にて鑑賞。
80年代のロック好き必見。
当時の名曲が聴けるだけでもうれしいしパット・ベネターの「強気で愛してHit Me With Your Best Shot」にのって、歌い踊るゼタ=ジョーンズや伝説のロッカーステイシー・ジャックスとしてガンズ・アンド・ローゼスの「パラダイス・シティ Paradise City」、スコーピオンズ 「ハリケーンRock You Like A Hurricaneetcをガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズの指導を受けたトム・クルーズがステージをわかせる。まぁハリウッドスターは何でもそれなりにこなすもんだと感心。
1987年のロサンゼルスを舞台に、音楽で成功を目指す若者の夢とロマンスを80年代のロック・ナンバーに乗せて映し出していく。シンプルなストーリーながら使用曲が良すぎるので何も不満はありません。と、当初は思ったのだけれど・・・、
実はこの数日後にニューヨークのブロードウェイで「ロック・オブ・エイジズ」を観たらこの映画の感想はかなり変わってきた。
映画ではトム・クルーズはぶっとんでいるけれど何気に実は良い人という設定だったけれどミュージカルではそんなフォローも一切無くて‘あぶない人’のままだったので、トム・クルーズよいしょ疑惑が芽生えてなんだかなぁ・・・
怒涛の楽曲、デフ・レパード、ジョーン・ジェット、ジャーニー、フォリナー、ボン・ジョヴィ、REOスピードワゴン、パット・ベネター、ホワイトスネイクetcも映画で見る以上にブロードウェイのステージの方がはるかに迫力あったし・・・加えて映画はいたって王道ともいえる脚本だったけれどブロードウェイはめっちゃ笑わせてくれて何倍も楽しめた・・・
比較するもんじゃないけれどミュージカルが良すぎてなんだか色あせてきてしまったような。
耳に残るクワイエット・ライオットの「Cum On Feel The Noize」はその完成度に改めて感動させられる。巷では一発やともいわれてもこの曲はやっぱ名曲だよ〜〜〜ん。




2010/6/18 【 RAILWAYS 】
RAILWAYS49歳で電車の運転士になった男の物語」を観た。
仕事に追われ、家族を省みることのなかった49歳のエリートサラリーマンが、ふと人生を振り返り少年の頃の忘れていた夢を追い求めるストーリー。一体世の中のどれだけの人が心からやりたい仕事に就き満足しているかというと・・・かなぁ〜り少数派なのでは。現実はいろんな縛りでがんじがらめで、もう一つのあったかもしれない別の人生に踏み出す勇気も余裕もないものかもしれない。本作ではそこに一石を投じるというのではなくあくまで‘こんなケースもあるんだよ’ってさりげなく提示している。
夢の仕事に就いた主人公肇(中井貴一)と夢をあきらめてなんとなく仕事に就いた宮田(三浦貴大)の対比も織り交ぜて描く。
それにしてもまぁ主人公の変化はわっかりやすい。就活中のムスメにかける言葉ひとつとっても「うかうかすると就職できねえよ」から「焦る事はない。ゆっくり考えたらいいまぁのんびりやるさ」になっちゃうんだもん。

そして何と言ってもこの映画の見所は舞台となった80年前の電車が現役で走っている島根のローカル私鉄「一畑電鉄」通称バタ電。加えて、肇が訓練を受ける京王電鉄などの払い下げ車両「デハニ50形」の木製の車体も鉄ちゃんには魅力らしい。舞台となった一畑電車でロケ地の島根の風景を旅するツアーも人気だとか。
後半に騒動のきっかけとなった携帯学生の登場はあるものの,主人公を取り巻く人々があくまでもあたたかく、バタ電が走る風景とあいまって ほっとする気持ちになれる。家族の絆もうまく絡め優しさに満ちているけれどこの安心感はある意味予定調和の域を出ていないとも言えるかも。





2010/3/30 【 ラブリーボーン 】
エア・カナダの機中にて「ラブリーボーン」を観た。

全世界30か国以上で1,000万部以上を売り上げた原作の映画化。「私は、14歳で殺された。」というショッキングな冒頭の台詞のつかみは良い。14歳で殺されてしまった少女が、残された家族や友人たちが立ち直っていく姿を天国から見守り続ける。
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが監督だけあって映像が印象的。ティーンエイジャーの服装がとってもカラフルで70年代という時代を上手に映しているし、なんと言っても特筆すべきはファンタジックな天国のシーン。
意外にも猟奇殺人の被害者となった少女の犯人に対する復讐を描いていない点に賛否が分かれるところかもしれないけれど、そこにこだわるのは生きている人間の業なのかも。本来死後にあるのは恨み辛みではなく、執着しないで解き放たれるということかもしれないしそうであってほしいとも思う。
そーいう意味ではこの原作は生きている人間の域を超えた深いところを突いているのかもしれない。





2009/9/11 【 レスラー 】
レスラー」を観た。
かつてセクシー俳優ということで絶大な人気があったのにいつの間にか顔を見なくなったと思ったらミッキー・ロークは、なななんと15年もハリウッドから干されて失業中の過去の人だったとは・・・。久々なミッキー・ロークは、以前の色男の面影はなく、マッチョでパンパンのおっさんだった。ここにいるのはまさに老いた落ち目のレスラーとして生きるランディにミッキー・ロークの人生をシンクロするように乗り移った男。
過去の栄光は遠く、冴えない日常の中で、他の何を失ってでもひたすらレスラーとして生きる主人公の人生の悲哀をしみじみと演じる。レスラーとして生きる地味な舞台裏も興味深かった。
若い頃には人気があったにも関わらずさほど魅力を感じなかったけれど、むしろ色んな意味で崩れた今の方がずっと哀愁漂って人間的で魅力的じゃなの。この役にめぐり合うまでの年月は無駄じゃなかったと思えるくらいのはまり役。
渾身の演技という意味では主演のミッキー・ロークが81回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたのと並んでストリッパー役のマリサ・トメイの助演女優賞ノミネートも十分納得。44歳でこのリスキーな役をよく演じたもので、形は違えども両者の体を張った演技に圧倒される。
唯一残念だったのが、手持ちカメラを多様した映像だったこと。
ある種ドキュメンタリーの要素を醸し出したかったのかもしれないけれど、主人公と一緒に階段を下りるような揺れのある映像が多く酔ってしまった。





2009/5/16 【 60歳のラブレター 】
60歳のラブレター」を観た。
中村雅俊・原田美枝子、井上順・戸田恵子、イッセー尾形・綾戸智恵の3組のカップルをうまく絡ませながら描く。家族として破たんしている中村雅俊・原田美枝子の夫婦、恋愛に慎重にならざるおえない井上順・戸田恵子のカップル、イッセー尾形と綾戸智恵の口が悪いながら仲が良い理想の夫婦、この3組3様の事情が身近にもありそうで中盤までとってもしんみりと感情移入できた。
それぞれのビミョウな心情を見事に描いていたと思う。が、ネタばれになるので詳しくは言わないけれど、3話とも泣き所のクライマックスへの展開が強引過ぎて後半に失速したような。
特に違和感あったのは3組の中でメインの中村雅俊・原田美枝子のカップルで、なんか男目線の願望映画・・・ってことで思い出したのが「像の背中」。耐える妻にかなり同情したものの・・・結局あの選択とは う〜ん やっぱわかんない。




2009/5/10 【 ロルナの祈り 】
ロルナの祈り」を観た。
カンヌで2度もパルムドールを得たダルデンヌ兄弟作品。「ある子供」に続きジェレミー・レニエが登場しているけれど、‘ヤク中’を演じることで体重を15キロも落としたそうで、確かにうわっというくらいガリガリ。
奇妙な夫婦関係に見える事情が徐々にわかってくるという構成。移民のロルナが夢を叶えるためにギリギリの状況にいるのも伝わるし、夫のクローディもどーしようもないヤク中なんだけど必至に立ち直ろうとする姿勢に次第にこの2人から目が離せなくなくなってくる。
ほとんど暗い表情のロルナがクローディのバイクを追いかけるシーンで見せた唯一のはじける笑顔は、束の間だけれどこの2人に確かな愛があったことを物語っている。
妄想が絡んでいようと事実がどうであれロルナが当初の目的や夢よりずっと大切な自分の良心に目覚めて行動しようとするのは救いでもあったりしてなんとも言えない余韻を残してくれた。
しかもヒロインのロルナはガーリー系じゃなくて,ベリーショートヘアでおまけに超貧乳でボーイッシュなのが結構好きかも()





2009/4/24 【 レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-  】

レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―」を観た。
曹操軍(80万の兵、2000隻の戦艦)vs劉備・孫権の連合軍(5万の兵、200隻の戦艦)の圧倒的な戦力差の中での赤壁の戦いを描く。Part1で周瑜を演じるトニーレオンと
孔明を演じる金城武が双方秀でていたけれど、Part2では断然に周瑜の比重が高い。
‘デブ助’尚香ヴィッキー・チャオと曹操軍の千人隊長の叔材の友情は想定外ながら観る側の力を抜かせてくれてほっとするものだった。曹操も適役ながらカリスマ性あるし一様に魅力ある俳優陣は今回も健在。頭脳戦も奇策も良かったし見どころの水上戦はスピード感あって壮大だった。
でも、話が話だけに2話になったのは理解できてもそれでもPart1で145分Part2で144分と合わせて5時間弱(4時間49分)というのは長い。
それにしても・・・この後、三国志では最終的に中国を支配していくのはこの赤壁の戦いで負けた曹操になっていくとはいえ、ここまでバブリ〜に殺しまくった流れのラストに「2度と来るな」で帰しちゃうってのは映画的にはどーなんでしょうか?





2009/4/14 【 ラースと、その彼女 】
ラースと、その彼女」を観た。
人付き合いが極端に悪い男が主人公といえば「イエスマン“YES”は人生のパスワード」のジム・キャリーを思い浮かべる。共通するのは、人間嫌いの主人公を見つめる周囲の目が超が付くほど温かいってこと。
変質者扱いされてもおかしくないあの状態の主人公を実は‘引いてしまい’ながらも、あくまでも‘良い人’として見つめ、主人公ラースを傷つけることもなく、大らかにラースとビアンカを受け入れている。
もし自分の周囲に万が一似たようなことがあった時にどうしていくべきかについて、こ〜いう方法もあるんだと指針してくれているような。
人間その気になればこ〜んなに優しい気遣いができるってことをユーモア交え温かく綴っている。
話が荒唐無稽ではあるけれど、ビアンカとの出会いはラースにとって必要なことだったと納得できた。「良い恋愛したネ」って言ってあげたい。
カナダのトロント郊外の風景も優しかった。





2008/11/7 【 レッド・クリフ Part1 】
ジョン・ウー監督がなななんとアジア映画史上最大規模の製作費100億円でかの三国志の「赤壁の戦い」を映画化した「レッド・クリフ Part1」を観た。
往年の三国志ファンに申し訳ないながら三国志に興味を持ったのは実はごくごく最近。実はさくら剛の前著2冊にモウレツにはまり当然のように新書を手にして出会ったのが「三国志男」。さくら剛の三国志熱にこちらまで影響されたというワケです。
三国志を知って読んだら本の面白さも100倍かと、映画鑑賞前に「ひとめで分かる三国志」などで予習をしようと思っても登場人物が多くなかなか整理できない・・・。が・・・この映画は三国志を知らなくても全然大丈夫でした。
中・香・台・日・モンゴルの大スターを結集しているだけに、スクリーン映えのする旬なアジア俳優が各登場人物の魅力と相乗効果で楽しめる。静と動の対比も申し分なく映像美は良かった。
が、豪傑たちの戦いぶりをカッコ良く描くにしても、ワイヤーアクションで空中回転などあまりに超人的になったのは行き過ぎかも。
今回はpart1ということで三国志初心者に優しい導入編という意味合いもあり、やはり期待されるのは「赤壁の戦い」の最大の見どころのPart2。来年を楽しみに待ちましょう。




2008/6/17 【 ラスベガスをぶっつぶせ 】

ラスベガスをぶっつぶせ」を観た。
カード・カウンティングという「必勝法」によってブラックジャックで大もうけをするという物語。MIT(マサチューセッツ工科大学)の数学の天才学生たちの実話を基にした大ベストセラーをもとに映画化したというから驚く。数学の能力ってここまで実社会で活かせるもんなんだ。
原題は「21」。これはブラックジャックのルールが21を超えない範囲で21に近い方が勝ちということによるらしい。けど、ブラックジャク知らないのでカード・カウンティングのシーンがまるでわからない。知識あったら数倍この映画楽しめたのかもと思うと悔しい。数学ならぬブラック・ジャックも勉強しておけば良かったかも。
最初は学費分を稼ぐだけといっていた青年が徐々にカネの魅力に取り付かれていくあたりが人間の弱さで、まぁここまでは予測できたのだけれど、意外にもそれで終わらない展開が待っていて意表をつかれた。
主人公のイケテナイ親友2人がサプライズでめちゃくちゃ良い後味を残してくれた。





2008/5/24 【 レンブラントの夜警 】
レンブラントの夜警」を観た。
レンブラントの名画「夜警」の制作過程とその後の破滅へを私生活での最愛の妻の死後の2人の女性を絡みながら描いている。
まるで舞台劇のよう。プラス 絵画の中の人物が動いているかのようなシーンは格調高く圧倒された。
「これが夢であってほしい」という冒頭とラストに登場する同じようで否なるシーンが印象的。
レンブラントは市警団のメンバーが不正や殺人などのスキャンダルにまみれたことを絵画で告発しようとして、逆に恨みをかい市警団の思うつぼにはまっていく。
格調高い画面に釘付けながらも・・・う〜ん なんか置いてけぼり。
何しろ登場人物の名前が全然覚えられず服装も誰が誰なのかワケわからなく混乱。加えてすさまじい台詞の洪水についていくのは大変。ということで市警団各々を理解できないうちにどんどん話が進んでしまった。ディテールまで理解するには1度だけでは難しいかも




2008/4/21 【 ランジェ伯爵夫人 】

岩波ホールで「ランジェ伯爵夫人」を観た。
原作はバルザック。
19世紀前半のパリを舞台にランジェ公爵夫人と将軍との恋愛を描く。公爵夫人は何故か気を引くだけ引いて思わせぶりぶり。いかにも文学的な台詞で2人だけで室内で話すシーンが大半を占めているので会話の駆け引きがこれでもかと続く。
夫人は恋愛ゲームとして楽しんでいるのだろうけれどこんな女性を相手にしていたらたまったもんじゃない。しかも相手は無骨で戯れとは縁のない気性。
「追えば逃げる。逃げれば追う。」の言葉通りに、この2人の立場は入れ替わっていく。何事も過ぎたるは及ばざると言うではないの。上手くいくこともできた恋愛を何故にここまでややこしくしたのかランジェ夫人は自業自得。
社交界と修道院という両極端な世界に渡ったなんとも波乱万丈の恋愛だった。





2008/3/1 【 ライラの冒険 黄金の羅針盤 】
ライラの冒険 黄金の羅針盤」を観た。
3部作で制作費250億円もの作品の初作。昨年末から、映画館に行くたびに何度も予告編で流れていたがそれ以上のものはなかった(-_-;)。話題性ばかり先行してしまったのかも。
ダストとは?ダイモンとは?の重要な部分はオープニングの説明にあるので最初が肝心ながらあっさりし過ぎ。
ライラだけに読み解けるという「黄金の羅針盤」という設定のせいか、観客にはライラに何が見えたのかスクリーンではよく分からずライラの台詞に頼っているのもイマイチ。
「チャーリーとチョコレート工場」の子役フレディ・ハイモアも楽しみだったが、アレこんな顔だっけという印象で今回は別人のようで可愛くない(-_-;)。
せっかくのダイモンなる守護精霊といった設定も、なんでいるのかがわからないくらいというか・・・なんか邪魔(-_-;)。こー思えたってことは原作の良さを活かしきれていないからなのかも。
とにかくハラハラドキドキもなく物語がどどど〜〜〜んと進んでいってしまったという感。




2008/2/2 【 ラスト、コーション 】

ヴェネチア映画祭で金獅子賞を撮った「ラスト、コーション」を観た。
諜報活動で敵方の重要人物に近づく所謂‘ハニートラップ’といえば昨年観た「ブラック・ブック」が浮かぶ。ということで、スパイとして一人の女性がどう翻弄されるかというこの種のストーリーは目新しいものではなかったような。
ただ
総製作費40億円をかけたという 日本軍占領下の香港・上海の街並み・重厚感ただようお店や部屋のインテリヤ・格調の高い音楽etcの映像美はノスタルジックで見応え十分。アン・リー監督の細部へのこだわりが伝わってくる。中国本土で異例の物議をかもしているシーンの中、ヒロインが腋毛を剃っていない状態ってのも演出のひとつだとしたら畏れ入るというよりマジで引く(-_-;)
いくら かのトニーレオンが演じても特務機関長の役柄がイマイチ魅力に欠けるせいか、、ヒロインが惹きつけられていく肝心なところの理由がよくわからなかった。





2007/11/11 【 リトル・チルドレン 】

アカデミーで3部門ノミネートした「リトル・チルドレン」を観た。

隣人に必要以上に関心を持つ郊外に住む人々で思い浮かぶのは「金曜日の妻たちへ」であり最近では米ドラマ「デスパレートな妻たち」。そしてこの「リトル・チルドレン」もまさにこのパターンと似ている。
夫との関係も冷え子供とは気持ちが通じないと思っている専業主婦・妻の期待を背負って司法試験勉強中も現実逃避気味の主夫・ロリコンで釈放されたばかりの元受刑者・トラウマをかかえる元警官etc 満たされない大人たちの行く末は・・・。
主演のケイト・ウィンスレットの不倫は短絡的でとても感情移入できるものではなかったのでどーでも良い(-_-;)
が、これに変わってロリコンの元受刑者の逸話が良かった。アカデミー賞助演男優賞ノミネートしたというロニー役のこのジャッキー・アール・ヘイリーは見事に異常さと葛藤を演じていた。この息子を嫌がらせから必死で守ろうとする母親の姿はあまりに痛々しく遺した手紙の一文には胸がつまった。
また、それぞれのラストはこれがベターと思える展開になりほっとした。





2007/9/5 【 恋愛睡眠のすすめ 】

ミシェル・ゴンドリー監督の「恋愛睡眠のすすめ」を観た。この監督の「エターナル・サンシャイン」がとても好きなので期待大。が、期待に反してイマイチだった。
「エターナル・サンシャイン」は別れた恋人の存在した記憶を消す物語。
本作はプロットが似ているような存在しない夢を作る物語。
本作をステップとして「エターナルサンシャイン」が生まれたなら分るが前作の完成度の高さからすると後退している。
主人公のガエル・ガルシア・ベルナルはもちろんヒロインのシャルロット・ゲンズブールが中性的でなかなか良かったけれど、原題の「THE SCIENCE OF SLEEP」のニュアンスからちょっとズレてるっていうかこの邦題変!!
ダンボールの車・セロファンの水など手作りのかわいらしさはあるものの、非現実的な夢は暴走としか思えない。そういえば人の夢の話ってちっとも面白くないもんだっけ・・・(-_-;)





2007/5/25 【 リーピング 】
ホラー映画専門のダークキャッスル・エンタテインメント(Dark Castle Entertainment)の制作した「リーピング」を観た。
Reapingとは、刈り取り・収穫する・報いを受ける 以外に世界の終末における最後の審判という意味があるそうだ。
実はこわい系は超苦手。でもおすぎが見逃がせないと絶賛していたし、これはホラーの霊的というより悪魔系なので意を決して観た。
まずこの作品は旧約聖書の出エジプト記の「十の災い」1.血の災い2.蛙の雨3.ぶよの災い4.あぶの災い5.疫病の災い6.腫れ物の災い7.雹の災い8.いなごの災い9.暗闇の災い10.最後の災い(長子の殺害)がベースとなっている。
この現象がルイジアナの保守的な田舎町でこの順番通りに起こる。のっけの血の川の映像に圧倒され、その後もウジや腫れ物やいなごetcとこれでもかというグロい映像が続く。怖くもあり思わず目をふせるのだが音もそーとーに怖い。
この系列「エンド・オブ・デイズ」「コンスタンティン」と比べて断然迫力があった。悪魔信仰ときいてもピンとこないながら、超常現象を科学で解明しようとする人物が主人公という設定も、目力のある少女の怖さと可愛いらしさも良かった。最後の最後まで見応えあったのは少女の言葉を聞いた主人公ヒラリースワンクの表情だ。
手に汗にぎってへとへとになった。誰にでもお薦めはできないけれど・




2007/2/19 【 リトル・ミス・サンシャイン 】

79回アカデミー賞にて、作品賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞の4部門にノミネートされている「リトル・ミス・サンシャイン」を観た。
全米ではクチコミで予想外の大ヒット、サンダンス映画祭では異例のスタンディング・オベレーションで、日本でも満足度ランキングが高い。
アリゾナから美少女コンテストの地のカリフォルニアまでポンコツバスで向かうロードムービー。一家の主の成功論者の負け組み否定のパパの考え方がアンチテーゼとなっている。バラバラの一家を乗せたバスは旅の途中、各人の夢や希望を砕き、バスの乗客は1人ずつパパの言う「負け組」になっていく。9歳のミスコン優勝を夢見るオリーブにも勝ち目はない。だけどこのイタイ家族がなんとも癒してくれる。そう、パパのいう勝ち・負けの定義は必要ない。

パパ以外のおじいちゃん・伯父さん・お兄ちゃんもみんなグダグダになりながら9歳のオリーブを守っている。お兄ちゃんの「僕の妹を採点させてたまるか」という言葉が妙に嬉しかった。幼い子供を大人顔にして競わせるミスコンそのものへも疑問を投げかけている。
クスクス笑えじ〜んとさせてくれるハートフルな作品にあったかくなった。





2007/2/9 【 六ヶ所村ラプソディ 】
上映会で「六ヶ所村ラプソディー」というドキメンタリー映画を観た。上映前の監督の挨拶によると、東京では最初観客がパラパラだったもののクチコミなどによって5週間の上映終わる頃には満席が続いたそうだ。
青森県六ヶ所村に建設された放射性廃棄物を処理する為の再処理工場が今年20078月に本運転を予定している。それにともなって放出される大量の放射能が海と空に捨てられるのだ。なんてこと・・・。海は青森から岩手を通って千葉まで流れ、空からはいくつもの村が影響を受ける。推進派の考えは「薄まるから大丈夫」。(-_-;)有り得ない。こーんな大変なことが起きるっていうのに冒頭で無関心な青森県人が映される。大丈夫か青森人!!
花とハーブの里の菊川さんをはじめとして有機栽培や無農薬に徹して農業に従事している人々の真っ直ぐな志が無駄になっちゃう。
反対派だけでなく工場専属のクリーニングを請け負うことができれば一生仕事は保証されるという人や家族を養う為に工場という働き口は不可欠という危険な中に身をおいた人々のやむにやまれぬ側面も含めて、六ヶ所村の暮らしを偏らないで描いている。みんなそれぞれの立場があって一生懸命生きている。
終盤何故六ヶ所村だったのかという答に「ヘンピだから」というのがズキッときた。いつもいつも損をするのは弱い者。
青森県人はもちろん全国的にこれは観るべき作品。




2006/4/5 【 RIZE 】

シネマライズで初日2日間の成績では(GAGA作品中)歴代記録となった「RIZE」を観ました。憤りと怒りをダンスにぶつける‘闘い’と称され現在「クランプ・ダンス」と言われる攻撃的なダンスは、創始者トミーザ・クラウンの「クラウン・ダンス」から発展したもの。冒頭に「この映画の中のダンスは早回しではありません」とテロップが出るのですが、確かにスピード感が凄まじい。全米で最も危険な街を語るに十分なL.A.サウスセントラルで生きていくには「ギャングorピエロ」の選択しかない と言い切る若者達の言葉に絶句。allダンス映画ってだけで行ったのですが、あまりの迫力に大会(バトル・ゾーン)では感動でじ〜〜んとなりました。今作が映画デビューとなるデヴィッド・ラシャペル監督は、新進気鋭の天才フォトグラファーというだけあって映像が多角的で鋭い。高揚感・美しさ・力強さをこれでもかと魅せてくれます。「I got to rize」と言う台詞の重さも感じました。





2006/3/8 【 乱歩地獄 】

江戸川乱歩の4つのオムニバスから成る「乱歩地獄」を観てきました。4作とも監督が違うのでカラーがそれぞれ。R-15指定だけあって血のシーンも多く精神的に弱い時は避けた方が良いかも。「世にも美しいスウィートな地獄」ということで異世界や禁断の夢の話です。
@「火星の運河」抽象的な原作をどう映像化するのか興味ありましたが、原作同様よくわからない()。台詞の無いアートな感じでまとめたようですがこれだけ観ても?肝心の紅を描いていないので「火星」とリンクできない。A「鏡地獄」成宮ファンもビックリするほどにストーリーを変えたのが疑問だし、実相寺監督ということで「姑獲鳥の夏」の二の舞で陰鬱さが物足りない。B「芋虫」大森南朋が本当に芋虫のように見えたのはすごかったけれど、これもストーリーを変え過ぎ。イコール原作に登場しない松田隆平は居なくても良かった()コンクリート住宅や服装などモロモロが大正という時代設定にマッチしていない。C「蟲」一転してポップカラー。ヒロインの緒川たまきの美しさと声は圧巻。浅野忠信は潔癖症以外はあまり異常という感じがしなかった。「なんなんだ?」と台詞を連発するシーンに「この映画こそなんなのよ」と言いたくなるし、ブリーフ一枚のシーンがやたら多くコミカルな部分が疑問。どろどろにダークな重いタッチで描いて欲しかった。もっと薄気味悪くもっと不気味に〜〜。





2005/12/16 【 ランド・オブ・プレンティ 】
テルアビブから10年ぶりに故郷に戻ったラナと、その伯父でべトナム戦争帰還兵のポールにとってのそれぞれのアメリカ。タイトルの「豊かな国」アメリカの表面には出てこない実態。
混沌の地イスラエルからアメリカを見てきたラナの視点とは違って、アメリカを守る為アラブ人を敵視し自衛活動に迷走するいかにも病んでいるポールの姿は、突っ走るアメリカの姿そのもの。
9.11のことを語り合う中で、イスラエルでは歓喜さえ聞こえたという話は、崩れないハズの絶対的なアメリカ神話がタワーと共に崩壊したポールにとって信じられないものであり「彼等はアメリカが嫌いだから」と言う台詞に言葉をなくしていた姿が印象的。それぞれの万感の思いで立った「グラウンド・ゼロ」は想像外に淡々とした工事現場であったというのが秀悦。




2005/10/30 【 ラヴェンダーの咲く庭で 】

シアタープレイタウンでラヴェンダーの咲く庭で」を観ました。この映画は、ちょうど「謎のピアノマン」騒動でもよく話題になっていたので、かなりの宣伝になっていた作品です。予告編からもある程度想像できた通りの展開ですが、歳を取るってことは切ないなぁとしみじみ。すがりつくようなジュディ・リンチの必死さが哀しい。若者には夢があって前途があって世界も人脈も広がっていくのに、老姉妹には淡々とした現実の日常しかないんだもの。「不公平よ」という台詞もこの老女が言うとあまりにせっぱつまってズシンときます。

劇中のテーマ曲はオリジナルだそうですが、主人公が少しだけ弾いた 挿入曲を、「これカラヤンで持っているよ」と影武者さんがCDを持ってきたのには驚愕。はあ?カラヤン?という情けない私は すぐにワイングラス片手にうとうとと、船をこぎ始めましたが、中学で音楽を習い始めた次女は一緒になって聴いているようで、やはり幼少の教育が大切と納得です。電車男がエルメスの家でリモコンをいじったらクラッシクが流れだした場面がありましたが、我家はそういう家庭になるのでしょうか?





2005/5/ 【 レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 】
世界中で「ハリーポッター」と並ぶ人気の児童向け小説「世にも不幸せなできごと」が原作。 ハリーポッターシリーズがあまり面白いと思えない身にはこっちの方が数倍楽しめました。3 兄弟がピンチを切り抜けていくというわかりやすい物語ですが、まるでティム・バートンかと思わせるような色彩の雰囲気は大人が十分楽しめるものです。 ジュード・ロウがどこで出てくるかのかと思ったら影のタイピング役というよりレモニー・スニケット役でした。 メリルストリープやダスティンホフマンも出演して以外にも豪華な出演陣。 3兄弟を貶める悪役がジム・キャリーで、さすがの怪演で好評のようですが、私にはあまりにもオーバー過ぎてアニメちっくに感じてイマイチ。 もっと自然な悪役の方がコワイじゃない? エンドロールは最高!思いがけなくラストのラストまで楽しませていただきました。影絵風のアニメです。これには感激〜。



2005/3/24 【 ローレライ 】
潜水艦ものでは「U−571」はそれなりに楽しめたのですが、これは何故か全くダメでした。狭い艦内での緊迫感なども二番煎じに思えたからなのか、大勢の方の感想にあるようにアニメのノリを感じたからなのか定かではありませんが、最後まで何も感情移入できないままでした。撮影にあたって圧搾空気で潜水艦ごと揺らして臨場感を出したそうですが、士気が高いなら漫画ちっくなヒロインをなんとかできなかったのでしょうか?一緒に観た影武者さんと意見が全く違うので両方載せます。
(以下 by影武者)↑とか、けなす人が非常に多いみたいですが、文句なしに面白かったです。アニメより臨場感はありますし、装備の時代考証がいい加減という話も、私はかなりオタクですが間違っていないと思います。物語はフィクションですが、日本人なら東京原爆投下の可能性について考えたことの無い人はいないでしょう。最高!!

 

2005/3/10 【 理由 】
宮部みゆきの同名小説を映画化。既に原作を読んでいるので犯人がわかった上での鑑賞ですが意外にも映画を楽しめました。これってすごく珍しいことかもしれません。映画は原作に非常に忠実です。宮部作品って映画化して失敗している例が多いような気がするのですがこれはそれらと比べると成功と言えるかも。 総勢107人のキャストは日頃からお馴染みの豪華な面々だったので次から次に登場しても混同することもなかったのも良かったです。 全員ノーメイクということで日頃塗りたくっていそうな女優さんのスッピンも楽しめました。と、ここまで褒めてきてナンですがエンディング曲がトホホ。♪殺人事件が結ぶ絆♪。何これ。薄気味悪いというかナンセンスの域を超えて悪趣味にもほどがある。その歌詞はないでしょ。

  

2005/1/29 【 Ray レイ 】
‘ソウルの神様’と言われグラミー賞を12回も受賞したレイ・チャールズの伝記。 監督が本人へインタビューしたものをもとにストーリーを書き上げ本人もこの製作に深く関わってきたというだけに映画の完成を待たず昨年2004年に他界してしまったのはとても残念です。 女癖が悪く薬におぼれる姿はまさにこれぞ由緒正しいミュージシャンのお姿!こーでなくっちゃ。 名曲はたっぷり聴けるし生い立ちに加え数々のヒット曲が生まれる過程が興味深く、長い上映時間が全く気にならない程楽しめました。 主演のジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞ノミネートも納得の圧巻で、レイ・チャールズを支えた母親も素晴らしく心にジンときました。 エンドロールまでおなかいっぱい伝説のナンバーが楽しめます。

      

2004/9/4 【 LOVERS 】
new映画館は上映前に館長の挨拶があるのですが「この映画は金城武の映画です」と言っていました。 つうことはヒロインは魅力無いってこと?と思ったらどんぴしゃり。 金城はさておき最初の30分くらいは見応えある舞踏シーンもあって前作「HERO」の感動と緊張が蘇えって展開に期待が高まったのですがそれ以外に良いとこ無し。 ラストのゾンビのようなヒロインには「これは……コメディorおバカ映画なの?」と笑ってしまいました。 比べちゃ悪いけど衣装も見劣りするしラストの雪のシーンは見づらいだけで正直つまらなかった。 いつも期待大のチャン・イーモウ監督にはもうこの路線やめて欲しいです。
前作にはあった 民を想い 国を憂う と言う 一流武芸者ならではの超絶した境地が この映画では 二重スパイの三角関係に落ちてしまいました。中国の偉人たちは墓の下で何を想うでしょうか。

  

2004/7/30 【 列車に乗った男 】
ルコント監督作。 女性的かと思いきやまさに渋い男の映画。 老いを前にした2人の男の、3日間の心の交流を描いた物語。 実直に小さな町で生きてきた教授と過去のある流れ者という対比が面白い。 現実的にはもうやり直すこともできないところまできてしまった人生だけれど、もし全く違う人生を歩んできたお互いに相手のような生き方をしてみたら・・・と思いを馳せるところが切ない。 そこに住んでいる限り何も変化のない人生が約束されているかのようなうら寂れた街の風景がとても二人と相まっていてGood! いつかこのようなひっそりとした町に私もふらっと立ち寄ってみたい。

    

2004/1/13 【 ラスト・サムライ 】
年末から3回も行ったのに毎回満席で無駄足に終った因縁の?作品。 なんであんなに混んでいるのよぉ。 世の中ヒマ人多いわね。かく言う私が誰よりヒマだって? 第4回目にしてやっと観れました。 長い道のりだったわ。 のっけに渡辺謙の夢に虎が登場する段階でこの時代、日本に虎の実物いねーべと斜めから観たにもかかわらず諸々のちょっと変だよ日本の演出はどーでも良いくらいはまりました。 この映画の最大の嘘というのは、甲冑武者。侍=鎧兜という観念重視ってことでなんやかんや誤りがあろうが説得力がなかろうがいいのよ。 年代から西郷隆盛とかぶる部分もありますが要は数々の寄せ集めが逆になんとなく日本っていうイメージがまとまっていて良いのです。 白人スターが甲冑に身を固め「武士道」を語ることが「大きな売り」になるのか本国アメリカでは男が泣ける映画とも言われているようです。 ベネロペといちゃついてるトムクルーズに不快感もありましたがこの映画ではたいした殺陣にたまげました。 8ヶ月以上トレーニングを受け邸宅内でテント生活を送ってストイックな精神を養ったとはやるじゃんという感じ。 でももちろん特筆すべきは渡辺謙。 カッコ良過ぎ。 あんな完璧なヒト一体どこの国にいるの?行ってみたいもんだわ。 加えて敵対する嫌な日本人原田眞人も良かった。 今では伝説か理想像となってしまった侍に清々しく感動。土下座したくなりました。

      

2003/04/21 【 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 】
前作での感想同様にこの話はあらゆる要素が詰め込まれていて子供向け作品としてはあまりの奥行きが深くストーリーの説明が一筋縄ではいかない。今回は前作「旅の仲間」前半での長い説明がない分3時間めいっぱいこれでもかという不思議世界のオンパレードで「す、凄い・・・」としか言いようがないラスト40分間の戦闘シーンは幻想文学の映像というより戦争+歴史映画のようでこの「二つの塔」はまるで軍記絵巻。それだけに個人的には話をする木の登場はななんだかせっかくのリアルな戦闘シーンに子供だましの要素が入ったみたいでちょっと余計に感じました。それにしても臭ってきそうなくらい泥と汗と血で汚れまくっていても美形の男ってのは常に女に縁があるのね。今回アラゴルンに惹かれていく姫は前回に比べかなーり庶民的で見劣りしたんだけど意図的なものかしら。第3作では愛の方でも初志貫徹で男気を見せて欲しいわ。こーんなお腹いっぱいになるものを見てもまだ指輪物語は途中なのよね。ものすごい期待感があるだけにこんな面白い映画が完結されてしまうのはサミシイ気もする。未だの方は是非でっかいスクリーンで観て下さ〜い。

  

2003/02/18 【 レッド・ドラゴン 】
既に映画化されている「羊たちの沈黙」「ハンニバル」以前のレクター博士の全貌が明らかになる真の意味でのこのシリーズの第一章。 今回はとっくに原作読んでいたしさすがに3回目ともなるとなぁ〜んにもドキドキしないのが残念。 慣れってある意味残酷。 観る度に前回以上の超人ぶりとインパクトを期待しちゃうのはこっちの勝手なんだけど・・・ 今回出番が多かった殺人気は幼児期の体験で精神が歪んでしまっているけどこーいうのを見るにつけ蝶よ花よと育てた家の子供の性格が真っ直ぐなのがよーくわかる(誰?笑っているのは)  ともかく・・・この映画の中で‘ぶ男’とコンプレックス持っている犯人が傷跡はともかく私には超カッコイイんですが・・・。 それにあの完璧な肉体美。 もともといい男を醜くさせても知れてるじゃないの。誰が見ても‘ブ男’起用の方が苦悩が伝わったかも。 加えてサイコパスだからある意味何してもOKなんだけど紙食ちゃったシーンはだけは苦笑しちゃった。

   

2002/10/25 【 ロード・トゥ・パーディション 】
 次回のアカデミー賞に絡む作品と太鼓判押されてる話題作。 「地獄」って意味もあるというparditionというのはこの映画では街の名前です。 1931年のシカゴを舞台にする一見マフィアの内部抗争みたいですが、大切なものを失った時の人間を描いています。 子を守る親の決断として復讐することを選択しないのものひとつの方法であったかもしれませんが自分の人生を生きられなかった父が息子に人生を与えるというテーマの深さはなかなか考えさせられるものがあります。 少ない台詞と一貫したダークな映像も風格を加えていますがただし展開は読めます。 マフィアものって老衰死はタブーなんですかね。 のっけの場面から息子は死なないってばらしちゃってるし父親の行く末も読めちゃうんだけど、予告編から追っ手から逃げる父子の運命は・・?みたいな話かと思っていたので意外でした。 気に入ったのは子役が必要以上に可愛くないところ。 J・ロウのネチっとしたしつこそーなとこも大変良いわ。薄毛は役作りの一貫らしいけどもっと髪なくても全然OKよ!

       

2002/03/16 【 ロード・オブ・ザ・リング 】
 作者トールキンの作品の中では今回主人公の叔父として登場するビルボ・バギンズが主役の「ホビットの冒険」の原作を学生時代英語の授業で使ったのでいくつかの登場人物の響きを懐かしく思えました。 まぁ頭の隅に残っていたのはそれほど授業で苦労したとも言えますが・・・。 古代北方民族にはぐくまれてきた世界をよみがえらせる神話や指輪にまつわる英雄物語や幽霊や悪魔の伝説がどっさり登場。 所謂メルヘンファンタジーとは一線をひいていて さながら天界地界のまんだらを織り込んだ別宇宙のように物語絵をなしています。多くの死も描きながらそんな死や宿業が大切な問題ではなく 信頼と愛と勇気や悲劇を生かしひらいていく知恵という大きな心が問題だとあくまで前向きに伝えているところがイイ。 仲間より綺麗な女性を選びそうになった主人公に苦笑。 ビルボは人間に通じるなぁ(笑)

   

2001/11/13 【 冷静と情熱のあいだ 】
 70万部を越えた大ベストセラーの映画化。 予告編で幾度となく耳にした『あまりに強く惹かれあっていると上手くいかない。一番好きな人とは一緒にはなれない』という台詞に集約されている話かと思いきや・・・。一理あると思うんだけど原作にもない台詞だったのね。 主人公のようなひたむきな好人物が無意識のうちに人を傷つける場合もあれば棘のある人が誰かをかばっていたりと人間の難しさも垣間見れたのが興味深かった。 このヒロインは想像を越えるかなり芯の強い女性。 言わなくていいことまで言ってしまうお調子者(アタシじゃないわよ)とは大違い。 愛に素直に飛び込めないのは性格としても手放しで感心しちゃうのが ‘好きなのに引き下がれる’ ってこと。 真似できませーん。 ラブストーリーにエンヤの音楽とフィレンツェの雰囲気がマッチしてとっても酔えました。 この映画に触発されて一丁アタシも何気に約束など交わしたーいと思わないこともないんだけど映画の登場人物のようなあくせく働く必要もないおハイソ階級と違って一般人が国内を舞台に同じようなことやっても話にならないだろうなぁ。 蛇足ですが上映中トイレに席を立つ人がやったら多かった。 利尿作用をおこす何かがあるのでしょうか??謎でありんす。

     

2001/02/04 【 リトル・ダンサー 】
 英本国で「フルモンティー」に並ぶ大ヒットとの話題性もあり初日は満席でした。 2000名から選ばれたという主人公は映画初出演だとか。少年のひたむきさとそれを見守る家族のむくもりで心はあったかです。 子供って親の思うようにはならないのよね。何でも言う事をきいていた時代は遥か昔、気がつくと自分で歩み出しているもの。これに戸惑う親心もわかるし子供の夢の為なら 自らを犠牲にしてまで応援しようというのもわっかるなぁ。 おりしも拙宅にも主人公と同じ11歳の子供がいてまさに夢に向かっています。 少年のバレエスクール通知を待つ心境がどうしても実生活とだぶってそれだけでぐっときました。 また全編を通して流れるBritishRockがイイ。 特に懐かしいザ・クラッシュの「LondonCalling」♪を聴いた時は大感激でした。 夢を持ちましょう。 夢に向かって進む姿は周囲にも更に夢をわけてくれます。

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