ま行     99年夏以降 劇場で観た新作映画の感想です(基本的にビデオ・DVD鑑賞した作品は含みません)
マーシャルロー 
マイ・インターン 
マイケル・ジャクソン THIS IS IT
マイ・ブルーベリー・ナイツ
マイレージ、マイライフ
マグノリア 
マクファーランド 
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
マジェステック 
マダム・イン・ニューヨーク 
マッチポイント
街のあかり
魔笛
マネーモンスター 
魔法にかけられて
ママの遺したラブソング
マリア・カラス 最後の恋
マリー・アントワネット
マルホランドドライブ 
まぼろし 
間宮兄弟
真夜中のピアニスト
マラソン
マレーナ
 
漫才ギャング 
マンデラの名もなき看守
マンマ・ミーア!
ミートザペアレンツ
ミスト
ミス・ポター
ミッドナイト・イン・パリ 
耳に残るは君の歌声

未来予想図
ミュージックオブハート 
ミュンヘン
ミラクル7号
ミレニアム ドラゴンタトゥの女
ムーランルージュ 
息子の部屋 
めがね 
女神は二度微笑む 
地下鉄に乗って
メルシィ!人生

魍魎の匣
モーターサイクルダイアリーズ 
ももへの手紙 
モンスター





2016/6/21 【 マネーモンスター 】
マネーモンスター」を観た。
ジョディ・フォスター監督。テレビの生放送に犯罪者から脅迫され視聴者を巻き込みアタフタ大騒ぎ となれば実況中継だけに目が離せない。
そもそもたまたま観ていた番組で偶然にも事件が同時進行となればまさに先が読めないスリリングさ満載で他のニュースはとたんに色あせちゃうくらいのインパクト。
司会者を信じて全財産を失ったという犯人の恨みが所詮自己責任なのは承知の上でも、格差社会の底辺で全てを賭けて失った惨めさと悔しさ等を察することができるのは、ジョージ・クルーニーが演じた司会者ゲイツがあまりにあまりな軽薄を絵に描いたような軽いノリの口先男だからかも。犯人の恋人のコメントもぶっとんでいて思わぬところで苦笑。
気の毒な犯人に同情できる要素をちりばめたことも作用し次第に周囲が共感をよんでいくようなストーリー展開は上手い。
危機的状況下で的確に指示を出すプロデューサーのパティ役ジュリアロバーツは監督のジョディ・フォスター像と重なってみえる。
次第に不自然な株価操作に気がつき奇妙な連帯感が生まれ物語はラストへ進んでいく。
展開が上手く行き過ぎる感も気になったけれどリアルタイム99分の実況を淀みなくみせてくれた。




2015/10/25 【 マイ・インターン 】
マイ・インターン」を観た。
若い女性経営者とそこにやってきた70代のシニア・インターンを描く。
‘恋に仕事に頑張るあなたに捧ぐ’ということで明確に女性をターゲートにしているし、アパレル会社が舞台ということもあり確かにおしゃれ感満載ではあるけれど、ある意味シニア・インターンの物語ともなっている。
というワケで高齢男性がこの手の映画を好むかはさておいて女性ばかり狙うのはもったいない。なんたって一点の曇りもない‘理想のインターン’を演じているはあのロバート・デ・ニーロだし。前向きでユーモアと優しさと気配りがあって立ち位置をわきまえた完璧な紳士像で出来過ぎとはいえ観ていて癒される。
鑑賞に当たって何も身構えたり肩肘張ったりしなくて良いし、基本的に良い人しか登場しないので精神的に一息つきたい時に向いている。




2015/8/31 【 女神は二度微笑む 】
女神は二度微笑む」を観た。
踊らない歌わないだけでそれ自体話題になるのがインド映画でこれも脱線なしのサスペンス。
一ヶ月前ロンドンからコルカタに出張に行って突然失踪した夫を探しにきた妊婦ヴィディヤが主人公。
コルカタ?馴染みのない地名だけれど大都市でどうやらカルカッタのことらしい。
インド特有のごちゃごちゃ感とも言える猥雑さがたまらないスパイスになっている。単なる夫探しのハズが探せば探すほどに夫の正体が謎めいてきてテロ犯罪・スパイ・諜報員となにやらとんでも展開になってくる。伏線がはりめぐらされ利用したつもりが利用されていたという練られたストーリー。
急展開を見せるラストでの赤と白のサリーを纏った人々によるドゥルガー・プージャーの祭‘が重要な役割となっていて、ここでの展開は見事。
この映画がハリウッドでリメイクされるというけれど、ここらへんはどうなることやら。ニューオリンズのマルディグラ祭なら、さしずめ紫緑金だけれど(^_^;) 
原題は「KAHAANI」で’物語‘とのこと。なんだかなぁという邦題は、ドゥルガーはヒンドゥー教の戦いの女神で、優雅な容姿と激烈な気性を兼ね備えたその極端な二面性をベースにしたというけれど、とってもわかり難い。
主人公をベースに考えると「女神は二度泣く」が正しいような。




2015/2/22 【 マクファーランド 】

「マクファーランド McFarland, USA」を観た。
実話に基づいたディズニー映画。
ケビン・コスナーの主演映画「Black or White」とともに良作にもかかわらず何故かこちらまで日本未公開。何故???
バラバラだった生徒達を時には音楽で時にはスポーツでまとめあげ成果を出すという映画は相当数あり、プロットとしては王道ながらも心を打たれた。
タイトルのマクファーランドはカリフォルニアにあり主にメキシコ系の移民の町。地理的には近くのベイカーズフィールドの所謂アメリカ白人のコミュニティとは一線を画している。
ハンバーガーを食べたくてもそれさえなくタコスなどメキシコ料理というのも象徴的。
先生役のケビン・コスナーが、白人コミュニティにも属さず、住んでいるメキシコ系コミュニティにも属さないという異質な中途半端な立場から自身を確立している姿が、まとまっていく生徒の成長とともにリンクしながら描かれている。
この現代に親の農業を手伝いながらアメリカの田舎町で走って学校に通う生徒達がいるというのも驚きで、アメリカの移民問題の一端を表している。
エンドロールではすっかり‘おじさん’となった映画のモデルとなった実際の生徒達の‘今‘が映し出され胸が熱くなった。





2014/7/16 【 マダム・イン・ニューヨーク 】
マダム・イン・ニューヨーク」を観た。
これぞ感情移入度100%maxの等身大作品。
英語の話せないインド人の専業主婦が、単身で姪の結婚式の手伝いに訪れたニューヨークでひっそり’4週間で英語が話せる’という英会話学校へ通いはじめる。
NYへ向かう飛行機の中でのCAのメニューの説明・入国審査での11の受け答え・カフェでの愛想のない店員へのオーダーetc全て「あるある」。あれもこれも英語圏で経験したことがあるドキドキそのもの。
日本でも英語コンプレックスは悩ましいものだけれど、中産階級以上ではネーティブスピーカーというくらい英語を話すというインドなら尚更その肩身の狭さは想像できる。
夫の「ラッゥ(お菓子)作りは天職=それしか取り柄がない」に相対する意味での、姪の「ラドゥを作るためにうまれてきたんじゃないわ」という両台詞がミソ。
英語を学ぶという図式だけでも興味ありありで、語学学校のドタバタ面々友人達も愛おしくまるで自分もあの教室にいるかのような近親感がわく。
この作品のよさはなんと言っても主演のシャシを演じたシュリデヴィの存在感。顔がアップになった時あまりの美しさにポカンとなってしまったほど。役柄的にも30代くらいのそれにしてもきれい過ぎるママかと思いきや・・・・・なななんと1963年生まれとは。実生活では50代。うっそぉ〜〜〜。究極の美魔女じゃないですか!!!ニューヨークの街でサリー姿のシャシはそれはもうインドビューティそのもの。
インド映画でお約束の長尺のダンスミュージカルシーンはないものの、わずかながらのダンスシーンはインド映画のツボを押さえるかのように凝縮されている。
タイトルは原題「ENGLISH VINGLISH」の言葉遊び的なほうがしっくりきたかも。
英語をマスターというきっかけから家族への思いも再確認してひとまわりもふたまわりも世界観が広がったヒロインに拍手。





2013/4/4 【 漫才ギャング 】
DVDで「漫才ギャング」を観た。
お笑い芸人品川ヒロシが、自らの小説を映画化。この映画も天性のお笑いの才能が満載で、主人公の劇中の漫才ネタも暴力も本領発揮でよくできている。
お笑いコンビ「ドラゴンフライ」の飛夫(佐藤隆太)と龍平(上地雄助)の漫才はお世辞抜きで笑える。お笑いタレントも多く出演しているけれどキャスティングが抜群。特に金融屋の宮川大輔とガンダムオタクの秋山竜次は絶品。もう一人の渋い金融屋役の長原成樹の起用もどんぴしゃ。
ただ龍平と敵対するスカルキッズのリーダーの佐山sanに関しては、留置場で笑い転げていた人物という伏せんがあるものの途中のフォーカスが甘かったのが残念。
品川ヒロシといえば、アメトーーク東野プレゼン企画「どうした!?品川」で‘おしゃべりクソ野郎’から‘腰ヌケ隠居野郎’に成り下がったとたたかれお腹がよじれるほど笑った記憶も新しい。
実際この映画も面白かったし、確かに本人が言うように(-_-;)ホント何をやってもそこそこ出来ちゃうのよねぇ。
まぁこれだけの映画作れるんだから今後もギラギラで調子こいての活躍を願うばかり。




2012/9/3 【 ミッドナイト・イン・パリ 】
ミッドナイト・イン・パリ」を観た。
アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞、アメリカではウディ・アレン作品最高の興収を上げる大ヒットだという。
オーウェン・ウィルソンが売れっ子脚本家から一念発起し作家を目指すパリ大大大好きのパリに夢みる夢男ちゃんを演じている。
「朝のパリは美しい、昼のパリは魅力的、夕暮れのパリにはうっとり、真夜中のパリは魔法がかかる・・」このあたりのもって行き方もホント上手い。加えて「雨のパリも素敵〜〜〜」というのがミソで素敵なラストシーンに繋がっていく。
主人公が憧れる芸術の花開くゴールデンエイジと言われる1920年代の人々は、19世紀末のベル・エポックを憧れていて、その時代の人々はルネッサンス時代に憧れる.。
いつの時代も自分たちの今より過去に黄金時代を見出しているっていう過去への感傷がウディ・アレンらしいシニカルさとユーモアで描かれる。
1920年代のヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、フィッツジェラルドetc… 19世紀末のロートレック、ゴーギャンetc…人物に興味ある人はもっと楽しめるのかも。
そういえば海外のことわざの「The golden age was never the present age. (黄金時代が現代であった試しはない)」これをそのまんま映画にするとこうなるという感じ。




2012/5/9 【 ももへの手紙 】
ももへの手紙」を観た。
心にもない言葉を投げつけた父親が不慮の事故で突然亡くなり、母親の故郷に引っ越してきた少女ももを描く。
父が書きかけた「ももへ」とだけ記された手紙がキーポイントとなっている。最初新しい環境に馴染めず、後悔と喪失感を抱えた少女が、のどかな島で妖怪や人との出会いを通じて成長していく。
この島がホントに素敵。なんでも映画に登場する汐島は、広島県大崎下島がモデルだという。瀬戸内海の情緒たっぷりで古き良き日本にタイムスリップしたかのような懐かしく暖かい。
何より肉親の死ほど悲しいものはなくその深さは計り知れないものだけに主人公ももの心の葛藤を丁寧に描いているのが良い。イワ、カワ、マメという3人の妖怪とももの掛け合いも楽しく絶妙。ジブリに似てジブリじゃないとか 色々な声もあるようだけれど、十分丁寧で素敵な物語で大満足。




2010/6/10 【 マイレージ、マイライフ 】
マイレージ、マイライフ」を観た。
アカデミー賞主要5部門6ノミネートという割に、なんとも焦点のぼやけた中途半端な印象。年間出張322日マイレージ依存症の辣腕リストラ宣告人(ジョージ・クルーニー)が主人公。
1000万マイル貯めることを夢に、人とのつながりを求めず「バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない」と言い切り、上客ということでワンランンク上のサービスを受けて優越感に浸りながら独自のクールなスタンスを貫いている。仕事ではネットでの合理化案には疑問を持ったり、プライベートでは妹の婚約者への「幸せだった時を思い出してごらん。一人だったかい?寂しさに震えたとき、側に誰か居たかい?」との言葉で自らも説得されちゃっうなど動揺しちゃう面も見せ、ちょっと人間味を醸し出す。でも、仕事の方は夢のマイレージ達成が危うくなることへの危惧だろうし、プライベートのほうもその場しのぎの白々しさも感じられちゃうので感情移入できない。やっと夢のマイルがたまった時のビミョウな表情が全てを語っている。
全体的に盛り上がりに欠けていた中で、荷づくりやら登場手続きの出張ノウハウは興味深かった。




2010/6/3 【 ミレニアム ドラゴンタトゥの女 】
スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を観た。
何の予備知識もなくたまたま時間的都合だけで映画館に入ったものの、なななんと観客はアタシだけ・・・ なんだかタイトルからしていかにもB級っぽいしポスターも不気味だし やばいかも・・・。と、せっかくの貸し切り映画館なのに出入り口に近い最後列のはじっこに座った(-_-;) 
で、映画はなななんと予想外に153分という時間を全く感じさせないくらいのエログロありの本格的ミステリーサスペンスでその面白さにぐいぐい引き込まれちゃった。
そして特筆すべきはドラゴン・タトゥーの女主人公リスベット。なんたって強烈。鼻ピアス・全身タトゥー・黒づくめの革ジャンというパンク系の中性的な外観で、人に媚びない表情が潔くなんともすっごくかっちょ良いのぉ。やられたらやりかえすってのも見ていてすかぁ〜っとするし。しかもリスベットの武器は卓越したハッカー技術。
期待も何もなかった分この映画に出会えて思わぬ拾い物をした気分。なんでも世界的大ベストセラーとなったミステリー「ミレニアム」の3部作の映画化だとか。ということで今後の続編が待ちきれない。




2009/11/12 【 マイケル・ジャクソン THIS IS IT 】
マイケル・ジャクソン THIS IS IT」を観た。
7月に実施予定だったロンドン公演のリーハーサルを編集した貴重なこのフィルムが、今年20096月に急逝したマイケル・ジャクソン(享年50)の遺作映画となってしまった。世界中で大反響を呼び日本でも2週間限定だった上映期間が延長されている。
晩年のマイケルは、残念なことに様々なゴシップ報道で、まるで‘キワモノ’扱いされていたように思う。その半端ないバッシングをずっと見てきただけに、この「THIS IS IT」でのリハーサル風景を観て、まずそのクオリティの高さに驚くとともに、彼がどれほどこの公演にかけていたかを目の当たりにして、突然の死はその心半ばという意味で残念でならない。
なんでもLATV番組で天上のマイケルと交信した霊能者が「THIS IS ITについてはあまりにリハーサル過ぎる映像なので観てほしくない」とマイケルの気持ちを泣きながら代弁したという。とてもリハーサルとは思えない本番さながらのシーンもあるけれどあくまで「ウォーミングアップ」と本人が意識しているだけに、完璧な本番は‘こんなもんじゃない’という披露できなかった悔しさが伝わり今回ばかりはサイキックな言葉も納得してしまう。

余談ながら私が一番マイケルの曲を聞いたのは、♪スリラーから始まった記録的な大ヒット曲の数々ではなく、それ以前の「オフ・ザ・ウォール」。もうアルバムは手放してしまったけれどチャーミングなルックスもあいまって何度も聴いたもの。なのでマイケルの死を惜しみ改めて購入したCDはやはり懐かしい「オフ・ザ・ウォール」となった。
私程度のファン(と呼べるかもビミョウ)でさえ、胸をよぎるものがあるだけに、ファンはもちろん世界中からマイケルを崇め集まったダンサー達や一体となって作り上げてきたスタッフ達がマイケルの死をどう受け止めそしてこの映画をどんな気持ちで観たのかに思いを馳せると胸がつまる。

マイケル・ジャクソンは数々のスキャンダルにまみれ誹謗に耐えながらも、進歩し続け手を抜かないまさに最後まで商戦的な人生を貫いた。拍手。





2009/1/31 【 マンマ・ミーア! 】
マンマ・ミーア!」を観た。
なんでもミュージカル映画として最高の出だしを記録したという。
アバの名曲に乗せて、有名俳優陣が美しいギリシャの島を舞台にはっちゃけて軽いノリで踊るっていうのが大ヒットにつながっているのかもしれない。
みんな楽しそうなので観ているほうも不快になるハズもなく・・・でもかと言ってつい笑ってしまえるほどでもなかった。
内容的には、当初の目的の「本当の父親」という点がピンボケのままだし、3人の父親候補の中でピアーズ・ブロスナンがなんだか突出していたので出来レースみたいな・・・。それぞれ父親の座を狙っている割には友情結ぶしなんだかよくわからないままハッピーエンドというのはご都合的かなぁ。
なんか舞台は良いけれど内容が浅くて消化不良。





2008/9/15 【 マンデラの名もなき看守 】
マンデラの名もなき看守」を観た。
な〜んてわかりやすく&地味な邦題なのかしら。原題は「GOODBYE BAFANA」で一瞬分かり難いけれど主人公がコーサ語を覚えるきっかけとなった、まさにマンダラとの架け橋になった親友の名前バファナからきている。
ラストの主人公の台詞がまさに「GOODBYE BAFANA」でなんとも意味深いなぁ。
観たかった最大の理由はマンデラ役がデニス・ヘイスバートだったから。「24」シリーズで一番好きなのがジャック・バウアーでもなくトニー・アルメイダでもなくパーマー大統領演じたデニス・ヘイスバートだった。イメージそのままに知的で気高い人格者ネルソン・マンデラを演じていた。
この映画は邦題にあるように看守が主役。家族を守るための出世と良心との葛藤を経ながらも、マンデラが27年も投獄生活をしてでも貫こうとした信念に導かれていく。「傍観者にはなりたくない。歴史の1コマになりたい」という言葉には重みがある。
看守の妻の「マンデラは最悪のテロリスト」という言葉は当時の白人の一般的な心情を表している。その妻が初めてマンデラの姿を見ることになる開放時のシーンは印象的。
スクリーンを通してでも自分も歴史の1コマに立ち会えたようでと〜っても感動した。




2008/7/9 【 ミラクル7号 】
ミラクル7号」を観た。
チャウ・シンチー(周星馳)が監督+主人公の父親役。なんと主人公の少年を演じたのは中国全土1万人から選ばれた少女。少女???えええええ〜っ!!これに驚いてはいけない。なんとガキ大将も実は女の子だし、ガキ大将の用心棒は実は女性で、巨漢の少女は男性レスラーだとか。
宇宙からの‘謎の生物’の登場は「E.T.」とリンクということでアジア版「E.T.」。
「貧乏でもいい、ウソはつくな。盗みはするな。ケンカはするな」と子育てをする父、将来の夢を「貧乏人になりたい」と言い切れる子供・・・建設現場での父と学校での息子のそれぞれの日常におけるひたむきさが良い。言葉だけではなく貧乏に負けない父子の明るさと真っ直ぐさが心にしみる。
そして主人公に‘ミラクル7号’と名づけられたのこの生命体の表情がお見事で釘付け。究極の癒しキャラ登場。
痛快な笑いの要素もちりばめられていて「泣けるSF」と言われているだけにここまで笑えるとは想像外・・・なんか思わぬ拾い物をした気分。CGも見応えあるし主人公の少年の内面も丁寧に描いていて大満足。
Sunny"I Like Chopin♪の曲が絶妙に使われていて秀悦。




2008/5/25 【 マリア・カラス 最後の恋 】

マリア・カラス 最後の恋」を観た。マリア・カラスの映画というより海運王アリストテレス・オナシスの映画のような・・・と思ったら原題は「CALLASONASSIS」だった。
歌姫つながり思い浮かぶのが「エディット・ピアフ 愛の賛歌」。どちらも愛に傷つき翻弄されるが、歌には最後まで裏切られないというのが共通している。
今回マリア・カラスを演じたルイーザ・ラニエリという女優は魅力的だけれど、歌唱シーンはいかにも口パクで、内面的にもキレイに描き過ぎているような・・・。しかも♪カルメンの歌声の吹き替えはマリア・カラスではなくアンナリーザ・ラスパリョージだという。マリア・カラスの映画でご本人の歌を使わないとは・・・これはアリ?すっごい失礼な話じゃないでしょうかねぇ。
さてあまりに有名なセレブ同士の恋愛だけれど、W不倫から始まった恋愛の行き先は予想できたハズじゃん。オナシスのようなタイプに期待するのは甘いょ。
モナコ、イスタンブール、ギリシャ、パリ、ローマ、ベネツィアetc豪華をつくしたセレブの世界はミーハー全開で楽しめた

(^^)





2008/5/16 【 ミスト 】

ミスト」を観た。
スティーブン・キングの小説「霧」を「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボンが監督・脚本をつとめ映画化。
同じ時期に制作された映画というものは何かしら似てくるのかわからないけれど霧の中から現れる‘触手’を見て、クローバーフィールドHAKAISYAの謎の生命体を思い出した。こちらも最後まで全体像がわからないままだしプラス白い霧に包むという手法なのでより不気味。
スーパーに閉じ込められ追い詰められていく人々の不安・パニック・疑念・反発・暴力・対立・そして狂気に変貌していく様子が臨場感いっぱいに描かれている。これは襲ってくる敵とは別に心の底から戦慄せずにはいられない。1番コワいのは人間かも。
人間の傲慢さを不条理で表現したのかもしれないと思われるラストは、原作を変更した監督の案だという。「霧の中には‘何’が待っていたのか―映画史上かつてない、震撼のラスト15」「霧がすべてを覆い尽くし、やがて最後の審判がくだされる」というキャッチコピーが過剰広告でなかったとは・・・。ズシンとした衝撃は予想を超える‘裏切り’そのもの。ショッキングながらこーいう終わり方の映画って新鮮。
「待てば海路の日和あり」この言葉に尽きるゎ。





2008/4/6 【 マイ・ブルーベリー・ナイツ 】

マイ・ブルーベリー・ナイト」を観た。ぬぁ〜んておしゃれでスタイリッシュな映像なのでしょう。これがウォン・カーウァイ色というものなのか。
NYで失恋し立ち直る為に旅に出ていく主人公を歌姫ノラ・ジョーンズが演じている。フツウっぽくてとても自然体で好感が持てた。
旅先でもしかしたら主人公以上に痛い心の傷をかかえた人々と出会う中、主人公がこの過程でどう成長して乗り越えたのかは分かり難かったけれど、痛い人々それぞれがそこに留まらない様子を目の当たりにすることで自分も1歩踏み出せたということかもしれない。
タイトルにも入っているブリーベリーをサーブするカフェの店主をジュード・ロウがとても魅力的に演じている。子供の頃母親に「迷子になったら探しにくるまでそこで待っていなさい。」と言われた話が伏せんのひとつにもなっていて、ここでも「待つ男」だ。ジュード・ロウといえば昨今髪が後退していたのが気になっていたが、本作では何故かふさふさで若返ったみたいな() 
NYに帰ってきた主人公のbagがヴィトンだっただけにエンドロールに大きく「ルイ・ヴィトン」が表示されていたけれど、先日観たばかりの「ダージリン急行」もヴィトンが関係していたし、ヴィトンは映画とのコラボに力を入れているのかしら?
1年くらいの旅の間の葉書でこの2人の距離がどう縮まっていったのかは、まぁ当人のみぞ知るというところで、失恋から立ち直るにはやはり次の「恋」が一番なのね〜。





2008/3/18 【 魔法にかけられて 】
魔法にかけられて」を観た。
ディズニーが自らの作品を自虐ネタにした作品。会場はディズニーとプリンセスに憧れる女の子が多かった。
「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」「美女と野獣」「リトル・マーメイド」etcちょっとした要素がリンクしている。私も女の子を育てた一人としてこれまでディズニーものは制覇しているし、観た方の評価がとても高いので期待したものの・・・それほどでもなかった(-_-;)  
主人公(エイミー・アダムス)と王子(ジェームズ・マースデン)はアニメのイメージそのまま愛すべき天然キャラでそつなく演じていた。悪役が板についた従者(テモシー・スポール)は本当にこーいう役をやらせたら天下一品。そしてなんと言ってもシマリスのピップは可愛い。
ただどーしても ロバート役のパトリック・デンプシーが苦手なのよね。私も現在もはまっている米ドラマ「グレイズ・アナトミー」で人気急上昇ということだけれど、この人ってイケメンかもしれないけれど市川染五郎系の顔でどーも好きになれない。まぁ2人の女性の間でビミョウな立場のモテ役というのはドラマと同じか()
女王との戦いが中途半端で意外とあっけなく、ハッピーエンドのラストも強引に思えた。




2008/2/23 【 マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋  】

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」を観た。 
子供の目線から見た‘おもちゃ屋’の楽しさが溢れている。ここまでパワーアップしたお店は現実離れながらも、子供達のキラキラした目の輝きはまさしくリアルだ。おもちゃ箱をひっくりかえしたようなこのお店は、もはや忘れ去れがちな子供の心を思い起こさせてくれ退屈させない。おもちゃだけではなく建物自体も命があるように表情を見せ色彩がないとまるで廃墟のようになる演出も面白い。
ストーリー自体は特別魅力あるとは思えなかったが、飄々としたダスティン・ホフマンが主張し過ぎないのが良かった。
何度か登場するぬいぐるみの表情が印象的。おもちゃ(人形)は大事にしなくちゃ!





2007/12/23 【 魍魎の匣 】

魍魎の匣」を観た。原作は第49回日本推理作家協会賞に輝き、シリーズ最高傑作の呼び声も高い京極夏彦の同名小説。膨大な原作だけに映画化はさぞ大変だったのだろうが、途中まで展開も速ければ、俳優陣も早口でついていくのに息切れしそう。
ノスタルジックな雰囲気を出すために中国ロケを行ったそうだが、昭和20年代の日本というよりやはり中国そのもの。
京極堂という古本屋は中野の目眩坂を登り詰めたあたりにあるハズだが、今回中野はかなりの山の中だった(-_-;)なんで?
京極堂の古本屋自体は、たたずまいといい空気感といい「姑獲鳥の夏」の方がよりイメージ通りだったかも。
ただのはっちゃけた女優ファンとして描かれている木場刑事だが、原作のテーマであるだけに木場刑事の切ない物語がカットされたのは残念。
ただ全体的には「姑獲鳥の夏」には描ききれなかったおどろおどろしい京極ワールドっぽさは出ていたし、京極堂夫人と関口夫人の何気ない会話がラストの伏線になっている演出は良かった。





2007/11/23 【 めがね 】

めがね」を観た。
かもめ食堂」の空気感が好きだったので、のキャストとスタッフが再び集った作品ということで楽しみにしていたが、期待ハズレ。
登場人物の背景が不明なままなのは前作と同じで、それはそれでこの映画の魅力なのかもしれないけれどあまりに淡々としていて退屈の極みでうとうと・・・。なんとなくイメージだけを伝えているような感じがした。
‘黄昏る’って言葉がこの映画のキーワードのようだが、その癒しの要素に心地よい風景・おいしい食卓・素朴なインテリア・優しい音楽と前作に通じるようなわかりやすいものを集めたというただそれだけ。大きな海老とビールにだけは心が動いたものの、台詞も心に響くものはなく、「自転車の後ろ」・「メルシー体操」・「氷」これらはちっとも魅力的に思えなかった。良いのは絵葉書のようなキレイなシーンが次々映し出されるエンディングだけ。





2007/11/7 【 未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜 】

未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」を観た。

ドリカムの曲「未来予想図」「未来予想図II」の世界観をモチーフにしたラブストーリーだという。

正直ドリカムの曲はほとんど聴かないので、曲のイメージとこの作品を比べることもなく鑑賞した。

スペインの未だ未完成のサグラダファミリア教会やちょっとした路地裏のシーンはなかなか素敵で楽しめたが、内容はトレンディドラマなどで使い古されたステレオタイプのラブストーリーで映画化するほどのものでもないような。ドリカムのファンになら受けるのかな?
ラストの横浜の花火大会の不自然なシーンは誤解が解けないままの展開とあいまってとっても違和感が残った。
あっエンドロールの後にも映画は続くので席を立たないように。





2007/10/13 【 魔笛 】

モーツアルトのオペラを映画化した「魔笛」を観た。

舞台は古代ローマではなく第一次世界大戦のヨーロッパ。

冒頭15分のモーツアルトの音楽に凄まじい戦闘シーンは圧巻。こーいう手法もかなり効果的。

とにかく演じているのが世界の一流オペラ歌手だけあって魅せられる。真面目に筋を追うというより笑えるシーンも多くオペラに馴染みがない身でも楽しめた。

一目で恋に落ちる夜の女王の娘も主人公の兵士も歌詞にあるような美貌ではなかったのはまぁ実力派歌手起用という意味では仕方ないかも。パパゲーノとパパゲーナのシーンがなかなかコミカルで良かった。夜の女王と娘と暗黒卿ザラストロの関係に含みを持たせたのが特徴。歌唱力は圧巻ながらも全体的には一人が何曲も歌うので長く感じた。





2007/9/26 【 ミス・ポター 】
ピーター・ラビットの原作者ビアトリクス・ポターの若い頃を描いた「ミス・ポター」を観た。
主演はレニ・ゼルウィガーで前半は編集者のユアン・マクレガーとの恋愛を、後半はピーターラビットを生んだ故郷を開発から守る様子が描かれる。
恋愛はあくまでもピュアーで微笑ましく、幼いポターが自然や生き物をスケッチし、後にそれがピーター・ラビット誕生へとつながっていく様子やアニメーションを取り入れたシーンは大人向けファンタジーそのもの。
この作品は全体にピター・ラビットのイメージそのもののやさしいタッチを感じ取れるものになっている。
結婚適齢期を逃した独身女性への厳しい目と、絶対的な親の存在など、当時のブルジョアジー階級の生活感は興味深い。それだけに上流階級を気取る両親に反発したり、絵本作家としての道を自立したのは計り知れないくらい大変だったことだろう。
それにしてもミス・ポターが過ごした湖水地方はなんてきれいな場所なんでしょう。トゲや悪意とは無縁の絵本を読んだようなほのぼの感が残った。




2007/8/10 【 街のあかり 】

フィンランドのアキ・カウリマスキ監督の「街のあかり」を観た。

「浮き雲」「過去のない男」に続く『敗者三部作』ということだ。この監督の特徴ともいえる、無表情の出演者の面々・最小限の台詞・独特の間・美人がいないetcは今回も健在。

主演のヤンネ・フーティアイネンはそれなりの外見ながら、何故か同僚から相手にされず、バーでも鼻つまみで、銀行でもまともにとりあってもらえず、人に利用され といった『負け組』として徹底的に救いがなく描かれる。

監督によると「ラストシーンは希望で光輝いています。」ということだが、う〜ん ラストのあのワンショットだけではそれは大袈裟かも。光輝くといいうよりほんのり灯りがともった程度でしょうか。

これが現代の不条理というものかもしれないけれど、お人よしで不器用で非現実的な夢ばかり追っているという主人公の人物像は決して否定はしないけれど、自分の身に何が起きても受け入れるだけという意味ではあまり共感できなかった。でも、この監督の作品では珍しく主人公が笑うシーンが一箇所ある故に、逆に主人公の悲哀と孤独が大きく伝わってきた。





2007/4/7 【 ママの遺したラブソング 】

ママの遺したラブソング」を観た。
母親の死を聞きニューオーリンズの生家に戻った娘とそこに住む母親の友人だった元教授と作家志望の青年の共同生活。正直人間関係がよくつかめなくてこんがらがること数回。
それにしてもジョン・トラボルタが良い意味で老けていた。一時は顔が膨張してどーなるんだろうと思った時もあったけれど白髪の似合う渋めのおやじになっているではないの。大学教授という役柄か会話に引用を交ぜているが、それがすぐピンとくるようなら台詞も楽しめたのかも。これはこちらのアタマの問題ではあるけれど。(-_-;)
展開はありがちで、ここでも「秘密」が存在する。最近観た「あかね空」ではこの秘密に対して説明的な描き方は一切していなかったが、この作品では知らすべき人には全部伝わって終わる。これは仕方ないとはいえいかにもという感じがした。
ただ満喫できたのはニューオーリンズの街並み。津波後、復旧はどーなったのか気になるところだが、私の記憶にあるニューオーリンズだった。市電から見える高級住宅街もCanal Streetもデッキのある南部風の家の造りも・・・。南部の空気を感じられたことはとても嬉しかった。





2007/2/11 【 マリー・アントワネット 】

マリー・アントワネット」を観た。監督ソフィア・コッポラの「教科書に出てくるマリー・アントワネットを撮る意味はない」の言葉通り、この映画のヒロインは、悲劇の王妃として描かれていない。
14歳での政略結婚、親元離れた異国の地、孤独、オーストリア女との陰口、ばかげたがんじがらめの風習、無関心な夫、世継ぎのプレッシャー、同じことの繰り返しの日々・・・、こんな中買い物三昧、贅沢三昧になっていくのはある意味精神状態として健全かも。なんとなくふつうの女の子にみえちゃった。
何も分からず遊び呆けていたらフランス革命が起きギロチンに行くはめになったってことでしょうか。
歴史ものだけにいくらでも重厚に描けたものを敢えてポップに作ったのは私には新鮮だけれど、カンヌではブーイングだったという。「キャンディーとケーキの世界」のイメージのとにかく明るい豪華衣装やお菓子やインテリアは飽きることなく目を楽しませてくれる。
消化不良なのは、ラスト近くのヴェルサイユに押し寄せる民衆の怒号の中で両手を広げ大きく頭を下げるシーンは予告編で観て印象的だったけれど本編では何の肉付けもなかったこと。加えてこのポップな演出でこの王妃のラストをどう描くのか観たかっただけにあのラストは肩透かし。断頭台シーンまでは引っ張って欲しかった。
アメリカ映画で全編英語。





2006/12/22 【 マッチポイント 】
ウディ・アレンがニューヨークからロンドンに移っての第一作のラブサスペンス「マッチポイント」を観た。
ゴールデングローブで四部門、アカデミーでは脚本賞でノミネートされている。
ウディ・アレンが登場しないので今回はあのマシンガントークが聞こえないのとイギリスの上流階級を描いているだけあって音楽もウディ・アレンらしいジャズから今回はオペラになっているのが特徴。
タイトルのマッチ・ポイントにはテニスでボールがネットに当たってどっちに落ちるかは「運」という伏線が込められている。アイルランド生まれとアメリカ生まれの2人の運をめぐる対比を軸に、‘身勝手男’の絵に描いたような展開はまるで3面記事そのものながらウディ・アレンらしいのはラスト。「努力」より「運」と言いながらも、後半ボールの代わりの指輪が橋の欄干に跳ねた時に予測したものとは違っていたのも「運」の持つ不確かさを表し、ある意味最後までテーマである「運」を皮肉っている。




2006/10/22 【 地下鉄(メトロ)に乗って 】

1995年吉川英冶文学新人賞受賞作の浅田次郎原作の「地下鉄(メトロ)に乗って」を観ました。
なぜ10年以上経って映画化なのか・・・やはり昭和ブームも関係しているのでしょうか?昭和といえば堤真一が「ALWAYS3丁目の夕日」に続き登場。

最初の東京オリンピックの昭和39年へのタイムスリップから始まって闇市の21年そして戦時中が当時の父の姿と共に描かれています。
サブタイトルに「それはあなたの知らない、あなたの物語」とあるようにさて自分の親のことをどれだけ知っているでしょう。若かりし頃の親と出会ったら・・・なんとも興味深い内容。

誰より存在感あったのは先生役の田中泯。この強烈な存在感には総じて高評価されている他の出演者もかすむ程。ヒロインの岡本綾は役どころがあまりにタイムリーな実生活のスキャンダルと被ってなんとも残念。
全体的にはまさに浅田次郎ワールドで原作の空気感がそのまま出ていたようですが、矛盾したシーンもいくつか。ヒロインの両親の会話からヒロインが実際に体験した幼少期の寂しさがつながらないし、ザ・サラリーマンという堤真一の姿は当時の父親にとってインパクトあったにもかかわらず「あっどこかで会ったような・・・」がなかったこと。そしてあのラストがあってこその物語といえど展開がちょっと唐突だったような。





2006/7/10 【 間宮兄弟 】
30歳過ぎた仲の良い(良すぎる)兄弟の話。
大人になりきれない兄弟というかある意味子どもがそのまま大人になったような感じ。純情な2人の日課の反省会・ビデオ鑑賞そしてじゃんけんぽんetc・・・そのなんだか説明できないおかしさが淡々と描かれています。恋には不器用で「いいひと」止まりの要素だらけだけれど、真面目で小さな幸せをいっぱい知っているこの兄弟は魅力たっぷり。いいじゃん。大人になれない男だって。
2人を見ていると自分がいつから子どもじゃなくなったのかな?なんて考えてしみじみししゃいます。ボードゲーム、トランプを最後にやったのはいつのことか?
それにしても最後まで疑問だったのが兄弟が隣のマンションを覘くシーンが多かったこと。あれは何の意味だったのかわかる方いたら教えて下さい
 




2006/3/24 【 真夜中のピアニスト 】

2005年ベルリン映画祭銀熊賞(最優秀音楽賞)受賞のフランス映画。不動産の闇ブローカーとピアニスト、父と母、暴力と芸術、現実と夢という対比が見事にリンクして、この相対するものが主人公の中にいるがゆえの苦悩を描いています。きれいごとで済まされない仕事とはいってもこの闇ブローカーの仕事がひどいです。実際にこの業界の方の話を聞いた上での役作りというから現実的なのがなんともやりきれません。力ずくで住人を追い出しその血だらけの手でピアノに向かうなどというギャップが良い効果なのでしょうけど…。不安定な精神状態で言葉の通じない中国人ピアノ指導者とのレッスン場面も印象的。この映画で1番良かったのはなんと言っても2年後のエピローグ。そーいう形での夢に向かう道もあったのかと えっ?という展開になんだか嬉しくなりました。





2006/2/21 【 ミュンヘン 】

スピルバーク監督の社会派映画「ミュンヘン」を観ました。1972年のオリンピックで11人のイスラエル選手団襲撃事件の報復の暗殺チームの任務と苦悩。殺しても後継者が出てくる終わりのない攻防。この手の映画はよく敵側をゾンビのように描くことが多いですが、スピルバーグがユダヤ系なのにイスラエル側だけではなく、パレスチナの犯人サイドのテロリストも人間味のある人物だという視点でも描いています。(これが皮肉にもユダヤ系が多いアメリカの中ではブーイングになっているとのことです)何度も登場する食事の場面を始めどうということのない日常や家族を描くことで、本当にごく一般的な感覚を持った人が絡んでいたことに今更ながら驚きます。テロに屈しないと報復している方針は現在も某国と重なりますが、イスラエルの国家の為の仕事をしても最終的にはモサドに協力を拒みイスラエルに戻れなくなってしまう主人公像にアイロニーが語られているのかも。フランスの情報屋一族はまるでゴッドファーザーのコルネオーネ一家みたいで存在感は見応えあります。





2005/7/10 【 マラソン 】

本国の大宗賞授賞式で最優秀作品賞や主演男優賞など7部門受賞。 自閉症の若者がフルマラソンを3時間以内に完走した実話をもとに映画化。 母の「息子が私より一日早く死ぬことが願いです」という台詞、人並みに近づけるよう全身全霊であらゆることを教え込む姿は、それが子供にとって良いか否かの判断は分かれるとしてもとても感情移入できました。 それをコーチは自己満足と切り捨てるし、弟は母の愛が自分に向かないと訴え、また父親からは逃げ出されるという状況で、一人で悩み泣く母の姿はあまりにも切ない。 主人公が完走するかどうかより、みんなの思いがひとつになることにジーンとなりました。




  
2005/1/5 【 モーターサイクル・ダイアリーズ 】
恵比寿ガーデンシネマでは連日大盛況とききました。待ちに待った作品でしたがこちらでは私達以外5人といったとこでしょうか。今年最初の映画です。 
昨年、死後何度目かのゲバラブームがおきた原因はやはりこの映画の公開の影響もあるのでしょう。 キューバの革命家チェ・ゲバラが医大生だった時友人と
した1万キロ以上もの長い南米縦断の旅を描いたロード・ムービーです。 「英雄の話ではない」 というようなテロップが何回も流れるとおり、23歳という学生の等身大の旅。 共産党員が軍事政権に迫害されていたりという厳しい暮らしぶりを目の当たりにして、旅の後半では徐々に、将来なるべく人物を目覚めさていく様子が伝わってきます。 ラストに一緒に旅したゲバラの相棒のアルベルトの顔が映し出されます 。もう80歳を超えるであろう老人の過去に、この映画でみた冒険ともいえる旅の経験があったのかと思うとやはり若いって素晴らしいと思わざる終えません。 守りの人生の前に若いからこそできる経験があるはず。この二人の旅をバイブルに旅にでましょう〜。ジョン・レノンが「あの世界で一番カッコイイのが彼だった」と言ったそうですがこのゲバラは風貌以上に内面も素晴らしい。因みにジョンレノンの誕生日とゲバラの命日は同じ10月9日だそうです。

   

2004/12/6 【 モンスター 】
アカデミー賞最優秀主演女優賞作。主人公のアイリーン・ウォーノスは全米初の女性連続殺人犯として2002年に死刑になっています。
この映画でのシャーリーズ・セロンは13kgの体重増、眉毛を抜き、腫れぼったいまぶたや日焼け跡などの特殊メイクを施し荒れた肌や髪etc実際のアイリーンそっくりに変化し、その劇的変化はやはり目にすると驚きます。 ちょっとした仕草も笑い方も話し方にも驚くほかありません。 (それよりもっと驚くのは、撮影後元の体型に戻ったということでもありますが)。 自分ではどうにもならない人生があるってことがとってもやりきれない。 これが現実なんだと思うと観終わって重い気持ちになります。 まともな仕事をして愛する人と穏やかに暮らしたいと普通の幸せを求めていただけに、虐待を受けてきた辛い生い立ちそのままに救われることがないまま暗黒に進んでいく姿を観ているのも辛いです。 結末は分かっていても誰か彼女を助けてあげてと何度も思わずにいられませんでした。 あまりにも暗いアメリカの影でした。

   

2002/10/10 【 メルシィ!人生 】
 真面目だけがとりえの主人公は別れた妻子にも職場にも煙たがられついには20年も勤めた会社にもクビにされそうな危機に・・・。 そこでリストラ回避に自分をゲイだと思わせる一策を講じたことから次々起こる珍騒動のコメディ。 これは会社がコンドーム製造工場でゲイを重要顧客としている為、もしリストラしたらゲイ団体からクレームくるという伏線がついています。 思わずなるほど〜ですよね。 でもクビさえ繋がればあとはどーなってもいいのぉ? 突拍子もなく大胆すぎやしませんか。 ひとつのウソを守る為につくウソってねずみ講式に増えていくってお決まりのパターンよね。 自分で自分の首絞めてとことん追い詰められていく男の逆転復活劇と周囲のドタバタには終始笑わせてもらいました。 それにしても人間万事塞翁が馬ともいうように人生って捨てたもんじゃないよねぇ なんだか明るくなっちゃった。 ところで主人公が働くコンドーム製造工場の内部が凝っててさっすがーおフランスはおしゃれだわぁと思ったらなんでも日本の相模ゴムのフランス工場を使ってのロケだとか。 どーせならオカモトの工場も見てみたい(笑)

 

2002/10/10 【 まぼろし 】
 あちこちのTV番組でおすぎが 「今年のベストワン。しかもお墓に持っていきたい映画にも入る」 と絶賛していたせいか満席。 客層は主人公と同年齢の50代前後女性が圧倒的でした。 急にいなくなった旦那が自分の心の中では何も変わらずにいるってのが見ていてやるせない。 おすぎはこのヒロインが昼下がりの情事のとき 「違うの。あなたは軽すぎる」 って笑ったのを聞いて総毛立ったそうで 「いつも女は必ず前の男と今の男を比較するの」 と断言してたけどそれはどうかな・・。 これはナニの優劣は全く関係ない次元で旦那が自分にとって絶対的だということでしょう。 よく失意の女性に男が 「オレっちが(オレ様が)忘れさせてあげるよ」 というお決まりの口説きがありますが忘れさせるどころか 「アンタのここが違うのよ」 じゃ笑い話じゃん。 精神面を含めるとオレ様だろうがナニ様だろうがナニが上手かろうが不変的な愛にはかなわないってことなんじゃないかなぁ。 巷では50代という実年齢の美しさが評判のようですがあの年齢で体の線が崩れていないのはあのお見事な貧乳のおかげもあるかもしれない。 衣裳によってはペッタンコで垂れようがないんだもん。 ってことで個人的に希望をありがとう〜。

   

2002/07/15 【 マジェステック 】
 巷では「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続きこの監督の泣き物三部作ラストと銘打っているようです。 今回は私もホロリときました。泣いておいて言うのもナンですが こんなことあるわけないでしょ的な展開の連続でこれを十把一絡げに奇跡とは呼んで欲しくないのですが・・・。いくら容姿がクリソツでもできすぎなのよね。 村人はともかく身内や恋人までそれはないでしょ。「信じたかった。そう思いたかった」で済まされないんじゃないのかなぁ。 例えばもしパートナーにそっくりな双子がいたとしても手をつないだ瞬間、目を合わせた瞬間にわかるはず。 思いが深いほど違いを受け入れられないものじゃないでしょうか。ってわけで身代わりでいいと思える心境がわからない。 アンタ男のどこを見てるのよって言いたくなっちゃう。 所謂「アカ刈り」の映画というと「真実の瞬間」でその自由の国アメリカらしくない裁判の様子を観たことがありますが今にして 「こんな面もちゃんとあったのよ」 って言われても・・・ 超辛口になってしまいましたが泣けたからまぁまぁということにしておきます。←わがまま

    

2002/03/16 【 マルホランド・ドライブ 】
 カンヌでは最優秀監督賞。 デビット・リンチ監督作品は大体において解釈しようとすること事態無意味らしく数々のパズルがつながるようでいてつながらない。 これが所謂リンチ・ワールドなのでしょう。 過去と現在の時間の交錯というより終わりも始まりもない妄想から現実へと描いていると観たほうがいいのかな。 怪物、幻影を見る青年、カウボーイ、ホームレスという謎めいたキャラクターや台詞がどんな意味あいをもっていくのか楽しみに観ていたけど結局わからず気をもたせられただけの感もありこれを含めて快感と思えるかストレスになるかは分かれそう。

  

2002/01/30 【 息子の部屋 】
 カンヌ映画祭パルムドール受賞。 TVでアナウンサーから何度も聞いた「感動」「涙」「心があったかくなる」etc・・の過剰宣伝のおかげでみごとに期待を裏切られました。 宣伝で流れる 「生きている間は開けてはいけない部屋」 とかいうフレーズもいったいなんなのよー。 どんな秘密があるすんごい部屋かと思うじゃないの・・・開けてびっくりスカかされたって感じ。 息子を失うという昨日まであったものが無くなってしまう喪失感や 苦しみから第一歩を踏み出すまでのギリギリの精神状態は分かるけどあまりに淡々としてアクビの連発。 ラストのうっすらと明けていく国境を見ながらのシーンはほっとするけどあれで終わり??これは映画通向けなんだろうな。ミーハーには手ごわいワ。

  

2002/01/11 【 耳に残るは君の歌声 】
 2002年の映画第一作目です。 ロシアで生まれたユダヤ人の少女版「父をたずねて三千里」。 全てを失った少女に残っていたのは幼い頃アメリカへ出稼ぎに行き離れ離れになった優しい父親が歌ってくれた子守歌。 タイトルにもなっているオペラ、ジプシー音楽、父から娘へ受け継がれた子守唄と全編に流れる音楽が哀しみを帯びて冒頭から胸がつまりました。 ユダヤ人やジプシー等への差別や迫害はスクリーンで何度観ても慣れるということがなく都度罪の深さに憤りを感じます。 押しなべて登場人物は多くを語らないのが押し付けがましくなくてgoodだし印象的な表情や映像で気持ちが十分に伝わってきます。 唯一後半の展開が早すぎたのが残念ですが 少ない台詞も脇をかためる登場人物もとっても良く今年初としては大満足です。 

    

2001/11/25 【 ムーラン・ルージュ  】
 19世紀末パリにあったナイトクラブ‘ムーランルージュ’を舞台にしたミュージカル仕立てラブストーリー。 ストーリーがあまりにベタすぎてそっちには惹かれるものはないどころか引いちゃったにもかかわらず斬新な印象。 宝石箱をひっくり返したようなまばゆい華やかな色彩のオンパレードに頭がクラクラ目はチカチカ状態。 次から次へ溢れ出す迫力には唖然としちゃいました。 絢爛豪華な世界とまるで縁がないので慣れるのに時間がかかるのよね。 かのエルトンジョンが歌ってもあの成りだからピンとこなかった♪YourSong♪もユアンマクレガーが歌うと本物よりgood! ポリスの♪Roxanne♪のアルゼンチンタンゴバージョンに至っては鳥肌モノの感動。 一緒に観た小学生はかつての洋楽のヒット曲を知るべくもなくアクビも出たようですがラストには涙を浮かべていました。 繰り返し出てくる 「人がこの世で知る最高の幸せ それは誰かを愛しその人から愛されること」 という台詞をお母様のように(アタシのことよ)実感できる日は何時かしらね・・・(笑)

   

2001/6/13 【 マレーナ 】
 「ニューシネマパラダイス」の監督だけあって音楽もシチリアの風景も絶品だし思春期の少年の父親がなかなかですが・・・良い点はここまで。 当のヒロインが人妻→未亡人→娼婦になる運命にちっとも同情できない。 生きるため仕方ないというより手っ取り早く向いている世界に落ちただけにしか見えない。 少年にとって色あせない生涯最高の女性になり得たのも美人だからでしょ。 男は下心、女は妬みが渦巻いてこれが人間の本質なのでしょうか。 ところで近くにもやたら‘未亡人’という言葉に弱い人がいるけど‘未亡人’に対する好奇な目というのは古今東西いっしょね。 女性向きの映画ということですがこの映画はカップルで行って‘未亡人’を前にした男性の反応を横目で見て観察するというのが正しい見方のような気がします。

    

2001/4/01 【 ミート・ザ・ペアレンツ 】
 アメリカって結婚と家族の関わり合いがもっとドライかと思ったけど・・・ 男性が結婚したい彼女の親に会うのが一大事というのは国を問わないようです。 気に入られようという彼氏と化けの皮を剥ぐぞーっていう父親の戦いです。 誉め殺しの極意と顔で笑いながら火花を散らす二人の様子に苦笑。 デ・ニーロって味方にしたら最強だけど敵にしたらやばいだけにはまり役。 一緒に観に行った子供が「彼氏連れてきたらこんなことしないでよ」だって。 貰っていただけるだけでもありがいのに どんな彼だろうとなんの不満があることか・・・ とここでは言っておきましょう。 そういえば私の父親も反対しなかったなぁ これはもしや同じ理由から?(笑)  余談ですがデ・ニーロ宅の内装が素敵。

    

2000/9/21 【 ミュージック・オブ・ハート 】
 教師と生徒の交流というと「陽のあたる教室」「天使にラブソングを2」が浮かびますがこれも爽やかな感動でいっぱいの作品。 主人公が非のうちどころがない完璧な教師ではなくメソメソ未練たらたらだったり結婚を迫ったり怒鳴りちらしたり…こういう人間くさいところがとても好きよん。 人が人を呼ぶというのか周りの人々がまた素敵なのよー。 過去さんざん泣かされたおかげで今の暮しがあるのだからその相手に感謝しなきゃねという主人公の母親の言葉が印象的でした。 「人間万事塞翁が馬」ってことですね。

    

2000/4/28 マーシャルロー
・・ タイトルは「戒厳令」って意味でまさにNYがアラブ人狩りとも言える異常事態に・・・アラブ人過激組織に対するFBIのデンゼルワシントンの活躍は最後まで中だれせず楽しめました。 テロ側の真意がわかりにくかったけど・・・ だましだまされってのが恋愛にはつきものなのに女性CIA情報部員ともなると過信して自分だけは大丈夫って思うのが悲しい。 CIAで働く能力のかけらもない私はダメモトで生きてるから楽なのかしら・・・

   

2000/3/01 【 マグノリア 】
 ・・ アカデミー賞3部門ノミネートとベルリン国際映画祭金熊賞というなりもの入りの作品です。 それぞれの人生最悪の日を過ごし迎える奇想天外のラストシーンは見ものよ。 と言いたいところですがなんだかねぇ・・・そういえばこの監督は「ブギーナイツ」で天才と称されたようですがあの作品もイマイチ好みじゃなかったっけ。 「女を誘惑してねじ伏せろ」と挑発する新境地開拓のトム・クルーズも質の高い演技と評価されていますが近年の「アイズ・ワイド・シャット」といいこの「マグノリア」といい私とは相性が悪いようです。 何も公開初日に気合を入れて観るほどじゃなかったかなぁ。 ブギーナイツ同様に好きな方には文句なしでしょうし評論家が絶賛していますから私の感想など気にしないで下さい。 期待し過ぎた私がいけなかったのよ。そ、いけないのはどうせ私よ。

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